姉が訪ねてきた折に、
1枚の紙を手渡された。
真っ直ぐな人柄の滲むきれいな手跡で、
訳の分からない2、3文字ずつの漢字が羅列されている。
聞けば、実在する子供の名前らしい。
ありゃまぁ。
文字や単語の意味も知らずにつけたのかも知れないが、
私なら完全にグレるわ。
吉本ばなな著「どんぐり姉妹」を読んだ。
主人公の姉妹の名は、「どん子」と「ぐり子」。
「どんぐり」のかわいらしい、ファンタジックなイメージからで、
本人達は「嫌いじゃない」とのことだったけれど、
これもオープニングから衝撃だったわ。
活発だけど刹那的な姉と、
人付き合いには向かないが、意外と芯のある妹と。
まさに2人で1つという感じ、
且つ、姉妹ならではの距離感のある親しさに、
ほんのり嬉しくなる作品。
まるで私自身を分割したかのように思える2人に、
ついついページが進んだ。
少し変わった仕事をしつつ、
緩やかでちょっとだけ不思議な日常を送っている。
挿入される旅行のくだりに、
旅情をそそられる。
肩を揉んでもらっているように、
読み進むにつれてリラックス。
「人間ってそんなにわかりやすくできていて、ごはん以外のものも毎日食べているんだ。
雰囲気とか、考え方とかそういうものまで」
仰るとおり。
人に限らず。
その性質を規定する名というものは、
いい意味でも悪い意味でも、呪縛に相違ない。
どんな物や現象も、
名を与えることで形を得て、
命を得るものだから。
どんぐり姉妹は、いい呪縛だったみたい。
凡人の私は、親が命の次にくれたプレゼント、
今のこの名前に感謝して。
また日曜日を終えることにした。