すれ違った瞬間に、
釣り針に引っかかったみたいに振り向いて。
一度通り過ぎたけど、
戻って手に取った。
「現代にいきづく京の伝統野菜」
菊池昌治・著
図書館の本棚から私を射竦めたそれに、
開いた途端から、気持ちをガッシリ掴まれた。
心をとろかすような小説でも、
好奇心で窒息しそうになる文献でもない。
文字通り京野菜を紹介するもの。
ただ、その文章が、ひどく私好みの豊かさを持っていた。
聞いたことはあるけど見たことないかも。
そんな距離感の京野菜たちを、
作る人の思いや、作られる場所の風土を添えて知らせてくれる。
古典から文言をひき、
俳人や歌人、文豪の言葉をひき、
それを食すことの幸運を教えてくれる。
出会いを感謝したくなる本。
マイベリーベストオブ、に一冊加わった。