飛びついてくる愛犬を、
腕力で軽くいなして、
いつもの散歩道を辿る。
道端に高く繁る草に潜り込み、
マーキングをする愛犬が、
草の間から顔を覗かせる。
何故だか上がっている彼の口角がおかしくて、
私まで笑ってしまった。
地表近くに蟠る灰色の雲の上には、
白いそれも見えていて、暮れ始めた空の茜を映す。
低すぎる稜線の山際は、
幾分強い光を残しているけれど、
集く虫の声が、出がけより大きくなった気がする。
あと何年、何十年、生きる義務があるのか知れないけれど。
その日々がこんな風に何もない、
静かな時間であれかしと願う。
そろそろ姉と姪っ子が訪ねてくる時間。
家に帰ろう。