昨日
手押し車を押して歩く彼女の細い二の腕を支えて
彼女の部屋まで一歩一歩
二人並んで進みました。
先ほどの仲間の不穏なトラブルを尻目に
彼女は、小さな声で
「あんなに乱暴に物に当たり散らしたらあかんわな。
なんにでも
なんにでも
愛情を持ってせななあ。」と
私の耳に聞き取れるか聞き取れないかの声で
話してくれました。
彼女から「愛情」という言葉を久しぶりに聞かせてもらいました。
その言葉は、ふだんは、あまり口にしない言葉です。
『接遇』とか『対応』とか
むつかしい言葉に振り回されているけれど
詰まるところは、彼女の言う「愛情」なんだと
彼女の体を支えながら、思いつきました。
90歳に近い彼女の二の腕には
脂肪もなく
もろい骨をたるんだ皮が覆っています。
その細くて柔らかい腕は、あたたかく
長い年月を愛情をもって生き続けてきたぬくもりを感じます。
背中の曲がった小さな彼女から
「愛情」という大きな言葉を聞かせてもらいました。
今日は、得した気分です。
昨日より、もっと人にやさしく出来そうな気がします。
彼女が生きてきたとおりに・・・・・・・・。
