
入浴の記録を書いていました。
向かいの机にコーヒーを飲み終えたしづ子さん。
職員さんが、彼女の前に造花の朝顔の小さな鉢をそっと置きました。
彼女が、その鉢を引き寄せました。
お昼寝中のトキさんなら、かぶりつかれるので
しづ子さんがどうするかはらはらしながら
観察していました。
彼女は、両手でその鉢を包み込み
じっと見つめると
小さな声で「オ カ ア サ ン 」と繰り返しながら
顔を崩して泣きはじめました。
「オ カ ア サ ン・・・・・・。 」
「オ カ ア サ ン・・・・・・・・。 」
「オ カ ア サ ン ・・・・。」
彼女のおかあさんがとても朝顔を愛でておられたことが
彼女の向かいの私まで伝わってきました。
記録していた私の手が止まり
涙がじわっとあふれてきました。
95歳であろうと
96歳であろうと
彼女にとっては永久におかあさんなんです。
おそらく彼女より若くして亡くなられたに違いないけれど
母という存在ってすごいです。