イギリスの作家で脚本家でもあるダールが、あるテレビシリーズのために、なんと748編もの怪奇な物語から選りすぐった短編集です。
 さすがにどれをってもドラマにすれば見る人の心を凍りつかせるような作品になったと思われます。残念ながらテレビの企画は実現しなかったそうですが、選ばれた中の14編が短編集となりました。
 どの物語も「幽霊」を扱っています。なんもへんてつもない日常のあるときにいきなり、足元に黒々と開く陥穽のようなこわさです。
 しかし、「チャーリーとチョコレート工場」や「おばけ桃の冒険」のような児童書の作家でもある、ダールが選んだ作品です。ただこわい、というだけでなくどこか優しさを感じる物語もあり、後味の悪いものはありません。安心して夜寝る前に読んでいただけます。
 私のお気に入りはティンバリー作「ハリー」アスキス作「街角の店」ウォートン「あとにならないと」などです。
 さて、お茶でも入れて怖い話を楽しみますか。


 
 
ロアルド・ダールの幽霊物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)/著者不明

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