好きな人と一緒に住むためには、気持ちの確認といった感情面から、物件選びや金銭面などの現実的な準備まで、順を追って進めていくのがスムーズだ。彼女もきっとそう思っているはずだ。
まずは「一緒に住みたい」という気持ちを共有し、お互いのタイミングや目的を合わせることがスタートだ。単に「一緒にいたいから」なのか、「結婚を前提としたお試し」なのか、お互いの認識をすり合わせておけば、後々のズレを防ぐことができる。
「1年後」など具体的な目標時期を決めると、準備も一気に現実味を帯びてくる。特に重要になるのがお金の話だ。賃貸契約や引越し代、家具家電の購入費用を含め、一般的には家賃の数ヶ月分ほどの初期費用が必要になる。
快適な部屋選びも重要だ。物件によっては単身専用の場合もあるため、事前の確認は欠かせない。また、お互いの年齢や結婚への意識にもよるが、あらかじめ両親へ報告しておくことも大切だ。
――と、頭では分かっているものの、直接会って挨拶に行く段階で私の足は止まっていた。
ここまで来ても心配の種は尽きない。世間では独身偽装などの話も耳にする。マッチングアプリで出会った二人だからこそ、「簡単に付き合って簡単に別れてしまうのではないか」という疑心暗鬼が拭えずにいたのだ。
相談相手もおらず、AIに知恵を借りる日々だ。
「もっと肩の力を抜いて、まずは『いつ頃、どんな理由で一緒に住みたいか』をカジュアルに話してみようか」
そう思いつつも、「優柔不断だと思われないだろうか」と不安になり、最後の一歩が踏み出せずにいた。
そんな時だった。玄関のドアを叩く音が響いたのは。
扉を開けると、そこには彼女が立っていた。
彼女は笑顔で「おめでとう!」と言いながら、一枚の「当選おめでとうカード」を私に手渡してきた。裏面を見ると、そこにはこう書かれていた。
『あなたは、私と一緒に住める男性に当選されました』
「このままだと完全に尻に敷かれそうだな」……そう思いつつも、私は思わずこう答えていた。
「当選を謹んでお受けします」
その後、彼女のご両親への挨拶も無事に済み、私たちは結婚までこぎつけることができた。めでたし、めでたし。