太陽の黒点が増えるということは、太陽の活動が活発になっているサインです。黒点の周囲では「ソーラーフレア」という超巨大な爆発現象が起きやすくなり、それによって大量の電磁波や高エネルギー粒子が地球に降り注ぎます。
これらが地球に到達すると、私たちの現代社会のインフラ(通信、電力、航空など)に様々な影響を与えます。地球に届く「もの」とその影響を、時間差を追って整理すると分かりやすいです。
1. 電磁波による直接的な影響(到達時間:約8分)
爆発で発生したX線や紫外線などの強い電磁波は、光の速さで地球に届きます。そしてデリンジャー現象(短波通信の障害)を起こします。
これによって、電磁波が地球の超高層にある「電離層」を異常に刺激します。結果、アマチュア無線や船舶、航空機で使われる短波通信が突然数分から数時間にわたって途絶してしまいます。
2. 高エネルギー粒子による影響(到達時間:数時間)
電気を帯びた、非常に動きの速い粒子、プロトンなどが届きます。これにより、人工衛星の故障を引き起こすことがあります。つまり、宇宙空間にいる人工衛星の電子回路に粒子が突き刺さり、誤作動を起こしたり、最悪の場合は壊れて使えなくなったりします。
また、宇宙飛行士や航空機の被ばくリスクがあります。大気に守られていない宇宙飛行士のリスクが高まるほか、北極などの高緯度を飛ぶ国際線の航空機でも、乗務員の被ばく量を抑えるために飛行ルートを変更することがあります。
3. 磁気嵐による影響(到達時間:数日後)
爆発によって吹き飛ばされた巨大なガスの塊が、1〜3日かけて地球にぶつかります。これが地球の磁場を激しく揺さぶる「地磁気嵐」を引き起こします。
結果、大規模な停電を起こすことがあります。地球の磁場が激しく揺れると、地上の長い送電線に巨大な「異常電流」が流れてしまいます。これが変電所の設備を焼き切り、過去にはカナダなどで大停電が起きました。
また、GPSの誤差を引き起こすこともあります。電離層が乱れることで、GPS衛星からの電波が遅れて届くようになります。これにより、スマホの地図やカーナビ、自動運転ドローンなどの位置情報に数十メートル規模のズレが生じることがあります。
他に、低緯度オーロラを見ることがあります。本来は北極や南極の近くでしか見られないオーロラが、磁場が大きく歪むことで、日本のような比較的緯度が低い場所でも観測できるようになります。
気になるのは、人間の体への直接的な影響です。「電磁波や放射線が強くなるなら、体への影響は?」と心配になるかもしれませんが、地球には分厚い大気と強い磁場があるため、地上の人間が直接被ばくしたり、体調を崩したりすることはありません。あくまで影響が出るのは「電気や電波を使うシステム」です。
尚、太陽の活動は約11年周期で増減を繰り返しており、黒点が多い時期はこういった「宇宙天気」の予報が世界中で注意深くチェックされています。
最後になりますが、今太陽が活発でも8分後に影響があるとは限りません。地球から見た太陽は約27日周期で1回転しているため、裏側で観測された事象は、しばらく待たないと地球側を向くことにはなりません。