イラン攻撃で偽情報拡散

 

中東に行っている日本人が、命からがら戻ってきているようだ。宿泊しているホテルからの動画だが、ちょっとずれていたら自分の頭の上に、ミサイルが飛んできていたかもしれない。

 

イランを巡る情勢、特にイスラエルやアメリカとの対立においては、物理的な戦闘と並行して「情報の戦争」が激化しています。現地の情報だと思っていたら、古い動画だったり、ゲームのシミュレーションだったり、個人が作ったデマのニュースのこともある。

 

注意しないと本当のことだと思って、拡散してしまいそうになる。偽情報の拡散は、単なるデマに留まらず、国際世論の操作や社会の混乱を招く深刻なリスクとなっています。その主な問題点と対策について整理しました。

 

1. 偽情報拡散の主な問題点

 

有事の際には「フォグ・オブ・ウォー(戦場の霧)」と呼ばれる情報の不透明さが生じますが、現代ではそれが意図的に作り出されています。AIで作成された精巧な偽動画や画像が、あたかも「今まさに起きている攻撃」として拡散されます。

 

例えば、実際には過去の他国での爆発映像にAIで加工を施し、テヘランやテルアビブの惨状として流布されるケースが確認されています。2024年の攻撃や、さらには2015年の中国での爆発事故など、全く関係のない過去の映像が「最新の戦況」としてSNS(特にXやTelegram)で共有され、人々の恐怖心を煽ります。

 

世論の分断と操作に関与することもあります。攻撃の正当性を主張したり、相手国を非難したりするために、特定のナラティブに基づいた偽情報が組織的に流されます。これにより、国際社会や国内世論が極端に分断されます。

 

また、偽情報をあえて流し、後にそれが偽物だと判明させることで、「何が真実かわからない」という不信感を植え付け、公式発表やメディアへの信頼を失墜させる手法もあります。

 

2. 具体的な拡散事例

 

学校や病院が攻撃されたとする偽の画像(AI加工されたもの)が拡散され、人道的な怒りを煽るケースがあります。

 

また、誰かの死亡などの未確認情報が、公式発表を模した形式で拡散され、政治的混乱を狙う。他には、攻撃目標の被害状況を誇張、あるいは隠蔽するために、衛星写真に加工を施して公開する手法をとっている場合もあります。

 

3. 実行されている対策

 

偽情報の拡散に対し、プラットフォーム側と政府や国際機関が連携して対策を強化しています。ユーザーが協力して背景情報やファクトチェックを追加する仕組み、拡散スピードに対抗する有効な手段となっています。

 

Xなどは、紛争に関するAI生成動画を、「AIである」と明示せずに投稿した場合、広告収益の分配を停止するなどの措置を導入しています。明示していても、目がそこに行かず安易に拡散されているケースも伺えます。

 

主要なプラットフォームは、AIで生成し、加工されたコンテンツに対して、自動的にラベルを表示する技術の導入を進めています。

 

公的機関・専門組織の対応において、専門家集団が、地理的条件や太陽の角度、過去の映像データベースを照合し、拡散されている動画が、「いつ、どこで」撮られたものかを即座に検証し公表しています。

 

また、偽情報が定着する前に、公式ルート(国営メディアや外交官のアカウント)から正確な情報を発信し、情報の空白を作らないようにしています。ネットの情報より、裏どりしているテレビの情報のほうが信頼できるかもしれません。

 

4. 私たちにできる防衛策

 

偽情報に惑わされないために、以下のステップが推奨されます。衝撃的な映像ほど、拡散する前にソースを確認する。センセーショナルな投稿だけでなく、信頼できる報道機関や公式発表と照らし合わせる。

 

検索エンジンの画像検索を活用して、怪しい画像は「Googleレンズ」などで検索し、過去に同じ画像が別の文脈で使われていないか確認することをお勧めします。