かつては、「どこでもつながる」の象徴だった街中のフリーWi-Fiですが、最近は提供を終了する施設や、自治体が増えています。
その理由は、単に「不人気になったから」ではなく、通信環境の変化やコスト、セキュリティといった複数の要因が重なっているためです。主な理由は以下の4点に集約されます。
1. モバイル通信の進化と普及
最大の理由は、スマホ自体の通信環境が劇的に良くなったことです。以前は、「ギガ死」を恐れてWi-Fiを探す人が多かったですが、現在は低価格で大容量のプランが普及し、わざわざ不安定な公共Wi-Fiに接続する必要性が薄れました。
また、4Gや5Gの速度が、公衆Wi-Fiの速度を上回るケースが増えています。「Wi-Fiにつなぐとかえって遅くなる」、という逆転現象が起きています。
2. セキュリティリスクへの意識の高まり
フリーWi-Fiは、悪意のある第三者によって通信内容を傍受されたり、偽のアクセスポイントを立てられたりするリスクが常にあります。
また、ネットバンキングやSNSなど、重要な情報をやり取りする機会が増えたため、安全性が保障されない。そのため、フリーWi-Fiを避けるユーザーが増えました。
それから、安全に使うには、「仮想のトンネル」を構築するVPNなどの知識が必要であり、一般利用者にはハードルが高いのが現状です。
3. 提供側のコストと負担
設置する企業や自治体にとって、フリーWi-Fiの維持は決して安くありません。例えば、Wi-Fi 6などの通信規格が、新しくなるたびに高価な機材の買い替えが必要になります。
また、通信トラブルへの対応や、サイバー犯罪に悪用された際のアドレッシングなど、管理側の負担が増大しています。
それに、「Wi-Fiがあるから店に来る」という動機付けが以前ほど強くなくなり、費用対効果が見合わなくなっています。
4. 認証プロセスの煩わしさ
多くのフリーWi-Fiでは、メールアドレス登録やSNSログイン、さらには専用アプリのインストールを求められます。
また、つながるまでに、何度も画面をタップしなければならない手間に加え、数十分ごとに切断される仕様など、利用者のストレスが蓄積したことも要因の一つです。
では、今後の展望はどうなるでしょうか。フリーWi-Fiは、完全に消滅するわけではなく、今後は以下のような形で「より安全で便利な接続」へシフトしていくと考えられています。
また、OpenRoamingという一度の設定で、世界中の対応Wi-Fiに安全かつ自動で接続できる仕組みが普及します。
キャリアWi-Fiへの集約も見られます。ドコモ・au・ソフトバンクなどの通信キャリアが、契約者向けに提供する、よりセキュアなWi-Fiへの一本化が考えられます。
最後になりますが、公共の場での通信は、いまや「無料の開放型」から「安全な自動接続型」へと、進化の過程にあると言えます。