ソーシャルエンジニアリング

 

ソーシャルエンジニアリングに関して、巧妙化する脅威にその対策が必要です。ソーシャルエンジニアリングとは、人間の心理的な隙や行動のミスにつけ込んで、情報や金銭などを窃取する犯罪行為です。マルウェアなどの技術的な手段を使わず、巧妙な話術や偽装工作、信頼関係の構築などを駆使して、ターゲットを欺き、意図した行動を誘導します。

 

近年、ソーシャルエンジニアリングの手法はますます巧妙化しており、個人情報や金銭だけでなく、企業の機密情報やシステムへの不正侵入など、深刻な被害をもたらすケースも増えています。代表的なソーシャルエンジニアリングの手口を見てみましょう。

 

その一つが、フィッシング詐欺です。偽のメールやWebサイトを作成し、あたかも正規の機関からのものであるかのように装い、ログイン情報やクレジットカード番号などの個人情報を入力させようとします。近年では、巧妙に作成されたフィッシングメールやWebサイトが多数存在しており、一見すると本物と区別がつかないものも多く、注意が必要です。

 

スミッシング詐欺もあります。SMSを用いたフィッシング詐欺です。スマートホンに偽のメッセージを送り、クレジットカードの暗証番号などの個人情報を不正入手します。あたかも金融機関や通販業者からのものであるかのように偽装したSMSを送信し、URLに誘導することで、フィッシングサイトに誘導し、個人情報を窃取したり、マルウェアを仕込んだりします。

 

古くからありますが、ワンクリック詐欺も注意したい。「100万円当選!」「今すぐ登録しないと損!」など、緊急性やお得感を煽るような文言で誘導することが多く、ついクリックしてしまう人も少なくありません。

 

なりすましにも注意が必要です。警察官や弁護士、システム管理者などの権威のある人物になりすまし、ターゲットに近づき、情報を聞き出したり、指示に従わせたりします。電話やメール、SNSなど様々な手段でなりすましが行われ、巧妙な話術でターゲットを騙すため、警戒が必要です。昨今、偽造のマイナンバーカードを使ってのなりすましが横行しています。

 

プレテキスト攻撃なるものもあります。何らかの口実を作り、ターゲットに近づき、信頼関係を構築します。その後、情報提供を依頼したり、システムへのアクセスを許可させたりすることで、不正行為を行います。巧妙な心理操作を用いるため、ターゲットは自分が騙されていることに気づきにくいという特徴があります。

 

ソーシャルエンジニアリングの対策として、ソーシャルエンジニアリングの被害を防ぐためには、以下の点に注意することが重要です。言うまでもなく、個人情報の取り扱いには十分注意することです。パスワードやクレジットカード番号などの個人情報は、安易に他人に教えない、SNSなどに公開しないなどの対策を講じます。

 

不審なメールやWebサイトにも注意を払います。メールやWebサイトのURL、差出人、本文などに不審な点がないか確認する。添付ファイルは安易に開かず、URLのリンクはクリックしない。ソフトウェアを最新の状態に保ちます。OSやブラウザ、セキュリティソフトなどのソフトウェアを常に最新の状態に更新しておくことが大切です。

 

アップデートすることは、最新のバージョンには脆弱性対策が施されているため、被害を防ぐ効果があります。また、不審な電話やSMSには注意することも肝心です。金融機関や通販業者などを名乗る不審な電話やSMSには注意し、個人情報を絶対に教えないようにする。もし不安な場合は、直接金融機関や通販業者に問い合わせて確認することです。

 

そして、周囲の人にも注意喚起するよう心がけましょう。家族や友人、職場の人など、周囲の人にもソーシャルエンジニアリングの被害について注意喚起し、対策を講じるように促します。ソーシャルエンジニアリングは、巧妙な心理操作を用いた攻撃手法であり、被害を防ぐためには、常に最新の情報を収集し、注意を怠らないことが重要です。