今、困窮邦人は寝るところを作っている。

コンクリートの上に段ボールを敷き、
枕を置いて。

ここはフィリピンの歓楽街マラテの路上。
フィリピンは真夏なので、夜も気温が高く寝苦しい

邦人は、パンガシナンにガールフレンドと子供と住んでいるが、
借金をしてお金がすっからかんになって、マラテへ出てきた。
とりあえず路上生活をしているのだという。

威張ったところのない、面白い男だったので、
私は何度か居酒屋へ連れて行って、食事と酒をおごった。

サンミゲールビールを飲み交わしながら、いろんな話をした。
彼は九州の福岡県出身、62歳。

日本ではトラックの運転手をしていた。
飲むのが好きで、10年前、日本人のゲイバーへ行ったのが、
フィリピンにはまったきっかけ。

お気に入りのゲイボーイが彼をフィリピンパブへ連れて行き、
フィリピンに目覚めた。

当時、指名した19歳のフィリピーナはパンガシナンに住んでいたので、パンガシナンへ追っかけ。日本人の本妻と家を購入して住んだが、本妻は3年前にフィリピンの病院で亡くなった。

「妻はフィリピンのパブリックの病院に入院した。
パブリックはダメだね。日本の病院だったらまだ生きていると思う」

ツーリストビザなので、延長が必要。

「パンガシナンでは2か月ごとのビザの更新ですが、
マニラは6か月もらえるんですよ。

ビザを延長する金がなくて、
1カ月、2か月のオーバーステイをすることはしょちゅうですが、

1カ月につき500ペソの罰金を払えば大丈夫ですよ。
この国は何でも金しだいです」(邦人)

(ここは邦人が使っているマラテの水浴び場。20ペソでバケツ2杯の水がもらえるので、それをかぶって体を洗う。ここもツケがきくという)

年金が出ているので、贅沢をしなければ生活をしていけるが、
飲み代や子供の教育費などで足りなくなってしまうという。

「日本で私の年金では暮らしていけないですよ。
フィリピンだから、生活を楽しめる」

所持金はいくらか聞いたら、
財布から25センタボ硬貨を3枚出した。

合計75センタボ。日本円にすると、2円くらいだ。
これでは何も買えない。

「知り合いのサリサリにツケで、朝、昼、晩くわせてもらってます。
年金が出たら全部返す約束です。フィリピンはツケがきくのでいいね」



昼間は気温が36度を超えるので、
サリサリでご飯をもらって、7イレブンに避難。

この日の彼のディナーはビニール袋に入ったライス10ペソ(23円)、おかず20ペソ(46円)だけ。
それに「ウォッカの水割が飲みたい」というので、おごってあげた。

彼は10日間ほどの路上生活の後、
「日本にいる弟から2000ペソの仕送りがあった」
といい、バスでパンガシナンへ帰って行った。

現地のもっとも安いトロトロめしが食え、
ホットシャワーはなくバケツで水浴び、
むし暑い野外で蚊に刺されても、段ボールの上で平気で寝られる。

こうしたサバイバルに耐え抜けるなら、
フィリピンのどこででも生きていけるだろう。


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