私たちは、社会の中で快適に生きていくために、いろんな環境・地位・モノなどを求めています。

そして、生きていく過程で、ある真実がわかってくるのです。それは、結局は、「他人から与えられることでしか、ほんとうに所有することができない」ということ。すなわち、今まで得たものの中で(お金、地位、配偶者なんでもいいです)、どんなものでも、自力で生み出して得たものがないということなのです。そこには、他人から与えられたものばかりだということに気づくと思います。

つまり、「交換」というプロセスを経たものでない限り、私たちは、ほんとうに所有することができないということなのです。

また、人は、「交換」というプロセスを経ることで、そこに「新たな価値」を、「交換された側」が付加していきます。「交換する側」には、ある一定の価値やイメージしかないものであっても、「交換された側」には、その交換物(人)に対する期待感・安心感・セルフイメージなどを投影するものです。そして、その交換物の社会的価値ができあがっていくものなのです。

つまり、あなたが欲するものの存在が、このように社会の仕組みの中において、すべて「交換」というプロセスを経て作られているということがわかります。そして、自分がほんとうに欲しいものの正体やそれを所有する方法が、実は、あなたが最初に「誰かと交換してみること」で得られるということもわかってくるものなのです。

それは、古代から、人の深層心理にある「人からもらったものは、返さなければいけない」という集合的無意識の存在にあります。その意識は、すべての人が生まれる前からインストールされたOS(オペレーティング・システム)ゆえに、誰一人例外なく存在する意識です。この意識の存在があるからこそ、「社会に対して贈り物をしてみることで、お返しがくる」という構造が成り立つものなのです。

ですが、ここで一番知っておかなければいけないのは、あなたが贈り物をした直接の相手からお返しがあるわけではありません(そのようなお返しもありますが)。この仕組みは、なんらかのサイクルを巡って、あなたへお返しがくるという社会構造を示しているだけなのです。

そのあたりの社会構造への信頼がなければ、一時期のつまらない損得感情で行動したものとなることも留意しておくことが肝心です。