頭の中が煮詰まってくると、一度、リセットしたいなあと。

「乳と卵」、「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」など、

川上未映子の文章には独特のリズムがあり、語調があり、

硬くなった頭を解きほぐされる期待を持って読むと、見事、その期待は裏切られる。

それは当然で、彼女は心理セラピストでも、マッサージ師でもない。

小説家である。

ただ、松浦理英子、多和田葉子、穂村弘といった文学者でも、

斎藤環、福岡伸一、永井均といった一見小説家とは違った人たちでも、

彼女が対話を重ねているのは小説であり、

こういうことを考え、小説を書いているのかと

「蚊柱」や「銭湯のおしっこ」で語られる小説家の着眼点と論理が魅力的に映る。

それもこれまでの彼女の作品を引き立てるものであれば、なおさら、引きつけられようというもの。

六つの星星/川上 未映子

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