はじめに

 『WHITE ALBUM2』は2010年頃にLeafから発売された恋愛アドベンチャーゲーム(ノベルゲーム)です。数百のゲームをプレイしてきましたがこの作品が圧倒的に一番好きで、クリアしてから何年か経っていますが今でも毎日この作品を想っていますし、ヒロインに憧れてピアノを始めるくらいにハマりました。このゲームの曲を毎日弾いています。

 

 なるべくネタバレ無しで書きますが、何にも知らない状態でプレイしたい人は注意してください。また、後半はネタバレありで書きます。(赤字で警告します)

 

序盤のあらすじ峰城大付属3年の北原春希は軽音楽同好会に入り、学園祭ステージに立とうとするも、訳あって同好会はほぼ解散状態になる。そこでメンバー集めをし、学園のアイドル小木曽雪菜と問題児冬馬かずさを引き込む。しかし学園祭に向けて準備するうちに3人の関係は...

 

 辛い三角関係のお話で、プレイヤーもどんどん苦しくなってきます。実際、僕はプレイ中に何度もお腹が痛くなり、何度も泣きました。終盤は常に吐きそうでゴミ箱の前でプレイしていました。ですが、それだけこの作品は人を惹きつけるものがあるということであり、EDの感動も筆舌に尽くしがたいです。

 

是非プレイしてほしい人・感動したい人・じっくりゲームを楽しみたい人・辛く重たい作品を楽しみたい人

 

 このブログではこの作品の魅力について語り、そのあとにネタバレありで僕の好きなシーンを紹介します。

  辛く引き込まれる三角関係

    最初から最後までほとんど春希、雪菜、かずさの三人の恋愛が描かれます。ラブコメの三角関係の場合はコメディに描かれることも多いですが、この作品は終始重いです。三人それぞれが他の二人を大切に思っているからこそ悩み苦しみ、プレイヤーの気分を重たくさせてきます。

 

   また、それだけ気分を重たくさせてくるのには感情移入しやすくなる工夫がいくつかあります。

 

 

ファンタジー要素無し

   不思議な力や奇抜な設定などは一切無く、僕達が住んでいるこの世界と地続きに感じられるリアルな世界でのお話です。だからこそ身近に感じられます。

 

丁寧な心理描写

   この作品は全ルートクリアまでに70時間ほどかかりますが、それはストーリーが長いからだけではなく心理描写が丁寧だからです。春希、雪菜、かずさの3人は本当に"生きている"と思えるほど複雑な性格をしているものの、この丁寧な描写のおかげで違和感を覚えることなく感情移入できます。

 

長いが無駄なシーン無し

    とんでもないどんでん返しや鮮やかな伏線回収があるわけではないです。ですが、序盤での積み重ねがあるからこそ後半の展開に説得力が生まれてくるのです。展開がスルッと頭に入ってきます。

  物語に寄り添った音楽

 この作品に音楽は必要不可欠です。

 まず、軽音楽同好会の話ということでシナリオ上でも曲がいくつか登場し、それらの曲のなかで

 

・登場人物の心情の鏡
・特定のシーンの比喩・シナリオ全体の総括

 

になっているものもあります。ぜひ歌詞を一文ごとに解釈してほしいです。

 そして、BGMも重要です。どのBGMもその状況に合ったものが流れるので、辛い場面でプレイヤーを追い打ちし、どん底まで落としてきます。また、BGMのおかげでシナリオ全体の対比構造もわかりやすくなっています。

 

以下少しネタバレ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに僕の一番好きな曲は「時の魔法」です。雪菜TrueのEDですが、IC、CC、Coda全てをまとめるような歌詞だと思っています。3人でいることを一番に願っていた雪菜が歌う曲としてこれ以上のものはないと思います。雪菜Trueの途中から少しづつ流れるのもいいですよね...

  好きなシーン(ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かずさTrueでの雪菜、友人、小木曽家、職場との別れ

 多くの人が言うようにこのシーンが一番辛いのですが、辛いだけでなく多方面にしっかりとけじめをつけに行く春希の”誠実さ”が一番感じられるシーンでもあると思っています。小木曽家との別れではお義母さんの嗚咽、お義父さんの春希への信頼とそれが崩れたことによる悔しさが沁みます。友人たちとの別れは...武也との友情が一番感じられるシーンだと思います。IC、CC、Codaでしっかりと春希と武也の関係が描写されてきたこともこのシーンのインパクトを増強しています。

 

 

CC雪菜√での雪菜の立ち直り

「だって...俺が世界で一番好きな人は、俺の前で、楽しそうに歌う雪菜だから」

(出典:WHITE ALBUM2 Closing Chapter(Leaf))

この作品で一番好きなセリフです。めちゃくちゃクサい。でもそれがいい。クサいけど、春希が雪菜のことをどれだけ理解っているか、どれだけ真剣に想っているかが伝わってきます。雪菜は歌うのが大好きなんだよ。初見のときはベッドの上で転がりまくってキュンキュンしてました。僕もいつかは言ってみたいです。

 

 

浮気√の旅館

 春希とかずさのランデブー。浮気√で春希がどんどん壊れていく様子を見て「これどうなっちゃうの...?」ってなっていってその締めが旅館。春希が結婚を切り出した時は世界一複雑な感情になりました。世界から隔絶された場所に二人...っていう雰囲気もたまらない。そして、翌朝にかずさが春希を突き放すシーンはシナリオ全体で見てもかずさの愛が一番感じられるシーンだと思ってます。

 

 

小春√の窓

 春希、小春がそれぞれ窓越しに雪菜を見るシーン。CCでの雪菜との別れは雪菜の強さを感じられるシーンが多くてどのシーンも好きなんですが、このシーンがその強さを一番感じました。構造としてもわかりやすくて美しいし。

 

  おわりに

 僕はこの作品がノベルゲーム界だけでなく、恋愛もののすべてのコンテンツの中で最高傑作だと思っています。ネタバレ無しでは作品の魅力を十分に伝えられませんでしたが、僕が感じた苦しみ、感動を多くの人が感じることを願ってやみません。

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。ぜひWHITE ALBUM2 EXTENDED EDITIONを買ってください。