IT業界に求められる将来の方向性検討(1)
仕事柄、開発部門の将来シナリオづくりをお手伝いすることがよくあります。
3年後、5年後に我が部門は、どのような状態になっていたいか…などを検討していくわけですが、それなら、「中期計画というものを作っている」という会社は多くあると思います。
色々な会社で中期計画を見せてもらうと、売り上げや利益目標は書かれているけれども、それを具体的にどのように実現していくかの詳細までは書かれていないケースを多く目にします。
「この目標ってどうやって設定されたんですか?」とか、「目標を達成するために、具体的には何をやっていくんですか?」とか聞いてみると、一律前年比●%アップ、という設定だったり、具体的な実現方法はこれから検討することになっていたり…
そんな状況をよく見受けます。
これらの例は少し大袈裟かもしれませんが、目標を設定する上では、やはり何かしらの根拠を明確にした方が良いのではないかと思います。
そうしないと、例えば、目標を設定する業務を行っていない、実際の実務担当者からその根拠を聞かれ、回答が曖昧だと、実行する側とすると、モチベーションが下がってしまうかもしれません。
「俺は何のためにこの案件をやらないといけないんだろうか…」「どうすれば目標を達成できるのだろうか…」色々と不安や不満も出てくることになるかもしれません。
そもそも、将来シナリオを立案していくプロセスというものが、あまり知られていなかったり、曖昧だったりすることも、大きな原因だったりするかもしれません。
特に、製造業と比べてみると、IT業界などでは、これが不明確なことが多く、売り上げと利益目標だけが先行しているケースをよく目にします。
IT業界では、システム/ソフト開発プロセスは非常に精緻に定義されているケースが多いです。
要件定義(要求分析)から始まり、最後のシステム評価まで、どのタイミングで何を行うかがWBS等で詳細に書かれています。
しかしその前段階の、事業企画や技術企画にあたる部分のプロセスはほとんど皆無。
もしかしたら、以前は開発案件がたくさんあり、将来の方向性などを考えなくても、自然と仕事が降ってきて、それをこなすのに精一杯だった…なんてことが原因しているのかもしれません。
最近は国内のシステム開発の受注量も減ってきているし、中国やらインドやらをはじめとするオフショア開発が増加し、技術者の単価が低くなっていく一方…それに加えてクラウドコンピューティングなども出てきている…国内ITベンダーはたまったものではありません。
しかし、ソフトウェアの技術は、当たり前ですがデジタル技術で、汎用性がものすごく高く(誰でも比較的容易に扱うことができる)設計されている技術だと考えられます。
そのような特性もあり、技術を提供するベンダーとすると差別化がなかなかできず、技術で他のベンダーと勝負するだけでは勝っていくことが難しいのではないかと思います。
そこで、顧客に密着するだの、業務知識を身につけるだの、付加的な部分での差別化に乗り出しているわけです。
このようなことからすると、やはり、将来シナリオなどは真剣に考えないといけないのではないかと思ってしまいます。
では具体的には、どうやって将来シナリオを描いていくのか。
次回の記事では、これについて少し考えてみたいと思います。
ソフト開発に関係する人々の心のよりどころとなる「場」の創造を目指して
みなさま、はじめまして。
製造業やIT業界の研究・開発・設計部門の業務改善や戦略立案を行っている、経営コンサルタントです。
もともと、この職種の前は、あるソフト会社でプログラマ→SE→PMというキャリアを積んできました。
PMの時には、マネジメントの不足が原因して様々なトラブルが発生していました。
そんな開発現場を何とかしたいと思い立ち、コンサルティング業界に転身しました。
このブログというプラットフォーム(場)を通じて、ソフト開発に関係している人々に対して、マネジメントという側面の、心のよりどころとなるようなコミュニケーション環境を展開していきたいと考えています。
多くの技術者の方々のコミュニケーションの場となれるよう、ブログを更新していこうと思っていますので、みなさま、よろしくお願いします。
