​母と私の話⑨

母の認知症がまばらな時


ある時
母はキッチンに立ちながら
私にこう言った。


『私は、とても幸せな人生だった』

『あなた達が生まれてきてくれて私は幸せ』

『私は自分の人生に十分満足してる』

『ありがとね』


私は

『そぉ…』

と…
それ以上の言葉は出てこなかった


母の言葉は…
伝えられなくなる前に言葉で伝えたい。
今後、娘が後悔しないように伝えたい。

そんな意図を感じ
母の配慮と愛が私の心に響いた。


そして今、
私は母の言葉で救われている。

母から自分の人生は十分満足したと
伝えてもらえたからこそ
亡くなった今
『本当によかったね』
と思えるのかもしれない。



言葉はいつでも
伝えられるものではない。
つい、恥ずかしかったり、
また今度で言えば良いわ
なんて思ってしまう。

それは

伝える側も伝えられる側も
両方にとって後悔になるかもしれない。

そして

その言葉は心の安心や
拠り所になる言葉かもしれない。


思い切って伝えてみてもいいかも

少しの勇気で❣️