思い出したことPart 7
母はよくこんなことを言っていた。
母方の家系は美形。
母の妹は若いころ何度も
ミスユニバースのスカウトを
されたくらいの背が高い美人さん。
父方はいたって平々凡々
私の姉は父方似
一重まぶたの純日本風
『なんとしても次は私に似た
二重まぶたのかわいい子がいい』
と母は思っていた。
そんなある日
私がお腹にいる時に
テレビで落語を見た。
その落語の内容は…
子供がお腹の中にいる時
かわいい子が生まれるように、
女優のポスターを見続けた。
『こんな美人が生まれますよーに』
生まれた子供は髪の毛がなく
ツルっとしてビックリ。
おかしいと思い
ポスターの裏側を見たら…
ハゲたオジサンだった。
という
落語のオチ
母はさっそく
『やってみよう』
ってことで
姉を寝かしつけるのに
おんぶしながら
自分の顔を鏡で見ていた。
生まれてすぐに顔を確認したら…
目がクリッとしてビックリ!
あの落語は当たっていた。
らしい…
ただ…
この話には続きがある
私たち姉妹が大きくなると
母はこんなことも言い出した。
『父親の顔が悪いと子供に影響する』
『あなた達は私よりも劣る』
なるほど…
遺伝子上そーだろぉ…
何を意図してたんだろーか
認知症になった今
聞くことはできないが
たぶん
『実際そぉでしょ』
と笑いながら言うだろう。
母は
70歳前半からパーキンソン病を患い
レビー小体型認知症となった。
私は介護に必死だったために
色んなことを聞いていない。
今、母は元気で施設にいるが
『あれも聞いておばよかった』
『これも聞いておけばよかった』
と思うことがたくさんある。
みんなそうなんだろうな…
あれこれと少しの後悔を残して
でも、頑張った自分を少し褒めて…
納得できない納得をする…
そんな感じなんだろうなぁ…