​遠くで聞こえていた救急車の
サイレンがドンドン大きくなって
アパートの下で止まった…

どどどどどーっと
真っ白い人たちが
家の中に上がってきた。

『なに?なに?なに?』

『ちょっと待って!
ちょっと待って!』


真っ白い人たちにおぶられた
母の後ろを追ったが
突風のごとくあっという間に
姿が見えなくなった。

『えっ?えっ?えっ?』

『もしかして忘れられてる?』

『わたしおいてかれたの?』

わたしの存在を明らかにするには
泣くしかないと判断し、大声で泣いた。