『過熱する安保議論』
「平和の党」を掲げる公明党が神経をとがらせている。
「公明党は非核三原則を打ち立てる時、諸先輩が論陣を張った。
政府や自民党を中心に、核の抑止力強化や防衛費拡充、相手国に対する打撃力保有など、
戦後日本が堅持してきた「専守防衛」を転換するような提起が相次いでいるためだ。
公明は2月から、党の外交安全保障調査会を中心に安保戦略の成り立ちや改定の
意義に関して政府から説明を受け、質疑の場も設けている。
「現実を直視し、柔軟に対応していく」と党幹部。
公明関係者は支持母体・創価学会を念頭に、「支援者の間には戦争をイメージするのか、
安保戦略そのものに対する抵抗感が強くある」とも話す。
安保政策の「歯止め役」を自任してきた公明が、政府が年末改定を目指す
外交・防衛の長期指針「国家安全保障戦略」の論議にどう臨むのかが注目される。
相手領域内でミサイル拠点をたたく「敵基地攻撃能力」。
公明は、先制攻撃容認と誤解されるとの理由から慎重姿勢だが、
憲法と日米同盟の範囲内における議論自体は認めている。
公明内には「専守防衛からの逸脱を防いだ」(中堅)との自負が刻まれ、受け継がれている。
若手も集め、安保法制と安全保障論の基礎を学ぶ勉強会を開くなど党内の人材育成を急ぐ公明。
がっぷり四つに組んで議論する態勢を整え、「現実的でない」 との意見が多かったものの、
「核の傘」による日米同盟の拡大抑止強化を求める声も強かった。
こうした情勢を受け、公明内では非核三原則の見直しなど
世論が核廃絶と逆行していくことへの懸念が根強い。
公明内では非核三原則の見直しなど世論が核廃絶と逆行していくことへの懸念が根強い。
「平和の党」の存在意義を確と示すのか、押し切られて「げたの雪」とやゆされるのか。
来る自民との協議が、山口氏にとっても正念場となるのは間違いない。