【コケで省エネ緑化・太陽光発電】 | 【かほり放送局】

 太陽の日差しを遮る働きを持つ植物「コケ」。その断熱・保温効果を企業の省エネルギー対策に役立てるビジネスが熱を帯びてきた。
工場や事務所などの屋根にコケを植え付けたパネルで覆う独自のシステムを商品化した。
 ◆生育環境選ばず
 コケは、世界に約2万5000種類が生息している。両社がその中でも着目するのは、日光の当たる場所を好み乾燥しても枯れない「スナゴケ(砂苔)」だ。
新事業では、こうした機能が詰まった縦60センチ、横30センチ、厚さ1.7センチの人工芝付きパネルを屋根一面に設置する。価格は1平方メートル当たり2万円。事業初年度の2011年度は施工面積で2500平方メートルの販売を目指す。
 一般的に、スナゴケを使った屋上緑化の利点は、維持管理の手間がかからないことだ。
芝生で必要となる頻繁な水やりや刈り込みが不要となる。
あえて品質維持に目配りし、「採用した企業に安心感を与えたい」考え。
◆光熱費も大幅減
 住友林業緑化は、冷房使用が集中する6~9月の120日間に着目し、苔かんむりを1000平方メートル設置したケースで省エネ効果を試算。その結果、同期間で約16.8トンの二酸化炭素(CO2)と約63万円の光熱費を削減できることが分かった。
「節電だけでなく、温暖化防止や都市部の温度が上昇するヒートアイランド現象にもコケは有効だ」と強調する。
「都市に潤いや安らぎを与える緑化の効果は太陽光パネルにない」と指摘。
その上で「今後の環境・エネルギー政策論議では人工的な新エネルギー技術だけでなく、緑にも目を向け共存の道を探るべきだ」と提案する。