【徳川家当主の夢】 | 【かほり放送局】
徳川家当主の夢を再現するコンサート 20日に東京で


 大正期、東京・麻布に日本初の本格的な音楽ホールが誕生した。クラシック好きの侯爵が造った「南葵(なんき)楽堂」英国留学の経験もある紀州徳川家の第16代当主、徳川頼貞(1892~1954)の発案で1918年につくられた。「南葵」の名は紀州徳川家の家紋に由来する。
。併設の「南葵音楽文庫」には大作曲家の自筆譜などを収めていた。クラシックを日本に根付かせようとしたパイオニアの志を伝えるべく、所蔵資料のデジタル化を進める慶応大のチームが20日、当時を再現するコンサートを東京・虎ノ門のJTアートホールアフィニスで開く。ホールの設計はW・M・ボーリズ。東京・駿河台の山の上ホテルなども手がけた米国の建築家だ。後にパイプオルガンも備えられ、音楽専用ホールとして一世を風靡(ふうび)する。関東大震災で損傷を受け、31年に閉館。後の慶応義塾塾長、小泉信三が支援した縁で、文庫の資料は同大のある三田に移された。 所蔵品は楽譜約5000点、図書約4800点。慶大デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構がデジタル化を進めている。「文庫の資料は世界の共有財産。デジタル化して、演奏家や研究者に広く活用してもらいたい」と美山良夫教授は話している。 20日の公演のタイトルは「麻布飯倉 南葵楽堂の記憶」。頼貞と交流していたチェリスト、ヨーゼフ・ホルマン作曲「アンダンテとアレグロ」、文庫に楽譜が所蔵されている指揮者ワインガルトナー作曲「日本の歌」、同ホールで日本初演されたベートーベン「『マカベウスのユダ』の主題による12の変奏曲」など、ホールゆかりの曲が演奏される。

 午後2時開演。演奏はチェロの渡部玄一ら。2500円、小・中学生1000円。実行委(03・5418・6441)。