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可愛い男の子の兄弟が
電車に乗ってきました。
「ママ！ここ、空いてる！！」
そう言って、弟くんが無邪気に座る。
続いてお兄ちゃんが座って
ママはすぐ横に立つ。
推定お兄ちゃん５歳、弟くん３歳
といったところでしょうか。
ふたりお揃いの
ポロ・ラルフローレンのトレーナーに
デニムジーンズをロールアップ。
オシャレで色が白くて
とってもかわいい。
ここまではよかったんだけど
少ししたら弟くんが騒ぎだした。
「ママ、携帯は？」
「ないよ。」
「ねぇ、ママ、携帯。」
「家においてきちゃった。」
「ママ、携帯ちょうだい！」
「ないってば。」
このくりかえし。
「携帯を家においてきた」
というのはママの嘘だということが
はじめっからバレている。。。
ママよりずっと根気強くてしぶとい弟くん
ドンドンヒートアップ。
「ねぇ、ママ！！
今度携帯パカパカしてこわしちゃうからねっ」
脅しながらマスクを取る。
ママ、慌てて
「マスクは外さないで！
コロナがあるから
大きな声で話しちゃダメなの。」
当然言っても聞かないどころか
格好のネタをゲットしたとばかりに
マスクを外してわめき始める。
ママ、とうとう根負け。
さっとスマホを弟くんへ。
当然のようにママのスマホをいじって
動画を見始める弟くん。
ところが。
「ねぇ、音が聞こえない。
大きくして！！」
またはじまった。
ママは何度も何度も
周りの人の迷惑になるから
音量はこれ以上大きくならないと
言い聞かせてる。
でも弟くんはゆずらない。
「聞こえないから大きくして！！」
この一点張り。
ママの方は
怒りたいけど車内で強くは怒れないし
でもなんとかしなくちゃいけないし
周りの人の視線が気になるし。
「そんなことしてると
駅員さんに怒られるよ。
連れて行かれちゃうよ。
そしたらママ、守らないからね。
どうぞ連れてってください！って言うよ。」
ママも必死に
声を落としながら応戦。
弟くんも負けてはいない。
「じゃ、降りるから！」
そう言って席を立ち上がる。
ママも負けない
「どうぞ！」
追いかけてくれないので
ママの足元に座って
靴を脱ぎ始める。www
「ね、ここで靴脱がないで。」
次から次へと
ママが困ることを
いろいろやってくる弟くん。
頭のいい子。
でも、このへんまでくると
私も笑ってられない。
いや、最初から笑ってないけどね。
そこで弟くんと私の目があった。
おい、オメー何様だと思ってる？
車内で音出すのはアウトなんだよ。
うるさいの。
大人もやっちゃいけないマナーのひとつ。
静かにしなさい。
にこりともせず
じーーーっと目をみながら
そんなことを脳内で
真剣につぶやいてたら。
静かになった。
私に背を向けて
動画を静かに見始めました。
アイツ、確信犯だな。
わかっててやってるな。
昔の私がママと同じ状況になったら
多分めっちゃ怒ってる。
もっと早い段階でキレるし怒ってる。
周りの人がいても
声をあらげていたかもしれない。
周りの人の目は気になるし
困らせる子どもは憎たらしくなるし。
そして同時に
上手にたしなめられない自分はダメなママ
子どもの行動に振り回されて
怒ったり
なだめすかしたり
毅然とした態度でいられない
子どもと同じ土俵で
キレて怒る私は未熟。
周りの人の視線が痛い。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
そんな風に思っていたでしょう。
だけど今こうして
第三者として
冷静に眺めていると。
いや、そりゃ腹立つよね。
いいかげんにしなさいよ。
ママが優しく接してるからってなめんなよ。
オメーのやってることは
社会においてはちゃんとした迷惑行為なのだよ。
えぇ、そう思います。
そしてがんばってるママのことを
「静かにさせることができない未熟なママ」
なんてこれっぽっちも思わなかった。
あぁ、あれは私の勝手な思い込みだったな。
公共の場で言うこと聞いてくれないと
タイヘンだよね。
ママ、お疲れ様。
本当なら電車なんて乗りたくないね。
でも乗らなきゃいけない状況もあるよね。
そりゃなんとかなだめすかして
お菓子あげたり
動画見せたり
オモチャでごまかしたりするよね。
駅員さんを脅しの材料にもしたくなるよね。
ママがんばれ。
ひとりで重い荷物を持ちながら
自分はイスに座れずに立ったまま
あれこれ言ってくる
頭のいいワンパク小僧の相手をするのは
そりゃ大変だよ。
どうか今日一日のどこかで
ママがほっと安心できる一瞬がありますように
気がついたら
心の中でエールを送っていました。
そしてもしかしたら
昔の私が気がつかないところで
見知らぬ誰かが
エールを送ってくれていたのかもしれないと
ふと思ってね。
自分で世界を厳しいものにしていたことに
気がつきました。
電車内で出会ったママと子供たちが
すくすくと成長していきますように。
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