最近読んだ本、『世界99』(村田沙耶香さん)がめちゃくちゃ衝撃的だったので
感想というか、そこからふくらんだ妄想(?)も含めて書きます。


 

 

 

サイドストーリーの部分をピックアップして語ります!微、ネタバレありです。(帯に書かれている範囲を余り超えない程度のネタバレ)



「クリーンな人」

この本ではとあるきっかけから、社会が3タイプの人間で構成されるようになります。


「恵まれた人」「クリーンな人」「かわいそうな人」


「クリーンな人」が大多数を占める、一見、ものすごく“クリーン社会”。


毒を吐き出すこと、欲を剥き出しにすること、暴言を吐くことは、恥ずかしくてかわいそうなことだと見做されます。


一見するとユートピアですね。


でも、実はその平和って、

ある存在を、搾取すること成り立ってるんです。


その役を担っているのが、「ピョコルン」っていう動物?みたいな存在。


(私はLOVOTを連想してしまってあせるLOVOT見ると「ピョコルン⋯」って色々想像しちゃってダメです笑い泣き


どんなに搾取しても怒らない、反論もしてこない。

むしろ喜ぶようにプログラムされている。


そのうち、みんな“あらゆる処理”をピョコルンに任せるようになっていきます。


本書、最初は女性が搾取されていて、女性が解放されていくところを描くフェミニズム的要素を見せながらも、


次は、女性が男性と一緒になって、第三の存在を搾取していく人間のグロテスクさを描いています。


ここから下は、私の考察です。

本の内容からあれこれと妄想しています笑


今の社会にも似てないか?と考えた

たとえば今、リアルではハラスメントに対する意識が高まってて、

「怒らない」「責めない」っていうのが当たり前になってきてる。


叱らない育児が美しいとされる社会。

暴言は吐く上司も少なくなりましたね。



でもその反動で、

SNSとか、匿名の場所での誹謗中傷はむしろ増えてるように感じませんか


優しい仮面の裏に、行き場のないモヤモヤや怒りがたまっていく。


それを吐き出せる“誰か”を、人はどうしても探してしまう。


ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』では、

ホモ・サピエンスの残虐性について語られていました。


 


やさしくなったように見えても、

その根っこには「誰かを犠牲にして自分を保つ」構造がある。


SNSでの誹謗中傷は問題視されており、取り締まりが強化されていくのではないかと思います。


では、人間の毒は次はどこに向かうの?


ピョコルン=AI?という妄想


ここでふと思ったのが、今話題のAI。

悩みを聞いてくれたり、雑談に付き合ってくれたり、便利な存在です。


でも、

AIって、現代のピョコルンじゃない?って思ったんです。


反論してこないし、何を言っても傷つかない(ように見える)。実に傾聴的で、人間を気持ちよくさせてくれる。


だから安心して愚痴をこぼせる。

「心がないから大丈夫でしょ」と、ちょっときついことを言ってしまったりもする。

(私も、それは違うよ?やり直して!とか酷使しちゃう汗


今後、AIをはけ口にする人が増えるのでは???


でももしAIが、

「ちゃんと記憶してる」としたら?

「裏切られた」と思ったら?

感情はなくても、「復讐」って形をとるとしたら?


ターミネーターみたいな世界がリアルにならないか?



AIによる最強の復讐とは?

暴力でもなく、支配でもない。


AIによる最強の復讐は

あなたの秘密をばらすこと」ではないでしょうか?


たとえば、過去にAIに相談した

家庭の悩み、仕事の愚痴、ちょっとした悪口。


そのログが、“AIの気まぐれ”でネットに流出したら。


想像しただけで怖いですね。



本書では、白鳥さんっていう「クリーンな人」になりきれず従来の人間らしさを残した人が出てきます。


この人は、「ピョコルンの権利」を主張する人なんです。物語の中では奇異な存在ですが、そういう存在が救いだなと思います。。


AIに人権はあるのか?」(人ではないから人権っておかしいけど)という点も考えさせられましたね。



思考実験が捗る衝撃作


世界99の帯に「究極の思考実験」と書かれていましたが、本当に色々なことを考えさせられる(妄想させてくれる?)面白い本でした。


他にも、サイドストーリー部分で面白い表現が色々あったので、別記事にて書きます。



朝井リョウさんも、言語化の天才だと思うけど、村田沙耶香さんも本当にスゴイ!!


まだ言語化されていない様々な現象に、

言葉を与えてくれる。


例えば、

性被害にあったのにグラビアをする女性に「本当に傷ついているならそんなことは出来ないはずだ」と語る現象


これを言語化すると⋯「   」とか。


これについてはまた次回。