ゾンビは走っちゃダメ! -3ページ目

安東今昔物語(3)

・安東茶院

 『湖底の空』の主人公の実家に設定したのが、湖より少し離れた所にあるお店、安東茶院(アンドンダウォン)。お食事処で、陶器も販売していた。個性的な土色の建物はご主人が自分で建てたという。安東で映画館を借りて試写会を開くことを知らせようと韓国のスタッフから電話してもらったが、「この番号は現在使われておりません」になっていたそうだ。ロケの様子を写した写真を店内に飾ってくれていたくらいなので、連絡がつかなくなってしまったのは残念。引っ越してしまったのかな?
 試写会の翌日に車で現地を訪ねてみた。そしたらば、安東茶院を経営していたご夫婦は今も住まわれていた! 今では食事を提供する店ではなく、健康法を紹介する事業をされているそうだ。色は塗り替えられていたけれど、家屋の形はそのままに、看板も「安東茶院」のままだった。(映画の中では看板の文字をCGで書き換えている)
 映画の中で子供たちが隠れ家に使っていた円筒形の物置。これが印象的なのでロケ地に決めたようなものだが、残念ながらこの物置はなくなってしまっていた。

 撮影から5年が経ち、いろいろなものが変わってしまった。おまけにもう1点。

・あらかわ遊園
 数少ない日本ロケを行ったあらかわ遊園は、撮影後に長期間休園になり昨年リニューアルオープン。映画では30年前の設定だったので、30年前にあった遊具かを確認しながら撮影したが、今ではもう無理だろうな。

安東今昔物語(2)

・線路撤去

 安東駅がどれぐらい移動したかというと、タクシーで新駅から旧駅まで行くと10万ウォンくらいかかった。Googleマップは今だに旧駅を示すが、見てのとおり、電車が走る経路も大きく変わった。『湖底の空』で子供たちが写生していた湖畔にはもう電車は走らない。
 湖畔を走っていた線路がどうなったか、登ってみた。見事に何もなし。高い陸橋とかどうするんだろ? 町中では橋が分断されている所も。


・新しい橋建設中
 安東湖を象徴する月映橋(ウォルヨンギョ)のそばには大きな橋が建設中。橋の背景の景色が大きく変わってしまった。


・ドローン禁止
 さらにショックだったのはドローン禁止の看板。昔は禁止ではなかったので湖の上を飛ばして撮影したが、これももう撮れなくなってしまった景色だ。

https://youtu.be/LfyK3-Vmc-g

安東今昔物語(1)

 2018年に『湖底の空』のロケを韓国・安東(アンドン)で行った。映画完成後に新型コロナウイルスが世界中に広がり、安東にも行けなくなった。今月、ようやく4年ぶりに再訪。安東はいろいろと様変わりしていた。

・安東駅移設

 日本であるような、駅が地上から地下へといったレベルの移設ではない。安東の町の中心から町の外れにあった高速バスターミナルの横へ。
 『湖底の空』のロケでは、主人公が何年ぶりかで故郷の安東に戻ってきたシーンを撮影した。当初は湖の近くで撮るつもりだったが、雨に見舞われ、駅から出てくることで到着を表現しようと考え、撮影当日に安東駅に相談。駅長さんは「他のお客さんの迷惑にならないように」と言うだけで、ホームでの撮影も許可してくれた。日本では「2週間前に書面で申請しろ」と言われるのに!
 現在、駅だった建物はカルチャーセンターみたいな施設になり、ホームは残っているが、線路は根こそぎなくなっていた。あの優しい駅長さんは新しい駅に今もいるのだろうか? 聞けばよかった。

9/9安東試写会


 2017年から2018年にかけて韓国・安東(アンドン)でロケ。映画は2019年に完成したが、直後から新型コロナウイルスが拡がって外国に行けなくなってしまった。韓国では安東の近くの大邱(テグ)から感染が始まったので、安東はコロナ禍の初期からゴーストタウンのようだったという。ロケでお世話になった安東の方々にちゃんとしたご報告もできないままだったが、コロナ禍もようやく収まってきたので9月9日(土)に安東中央シネマで(いまさらなんだが)試写会を行うことになった。
 映画製作中にも安東中央シネマには上映の条件を聞いていた。興行として上映するには韓国の映倫みたいのを通さなければならないが、もう韓国内での配信も行われているので、映画館をレンタルして入場無料の試写会に。主な目的は安東の関係者へのご挨拶なのだから。安東中央シネマのスケジュールにも「劇場の行事」で空欄。
 ところが、上映素材を送った国際郵便がいっこうに映画館に到着しなくてやきもき。結局諦めて送り直した。昨日ようやく着いたようだが、念のために自分もBlu-rayを持っていく。
 5年前の安東。その後、駅は移転し、湖には橋が架かり、映画内の風景とは変わってしまった模様。一昔前の安東を現地の方々にお楽しみいただければ。

北海道まある+映画祭

 7月21日、『恵子さんと私』のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭での上映を見届けた後、川口から羽田空港へ。そのまま朝までゴロ寝して7時の飛行機で旭川へ。今年初めて開催される北海道まある+映画祭に参加する。昨年までのゆうばり国際ファンタスティック映画祭の事務局だった株式会社MACHによる、道内の映画館のない町を回る巡回映画祭だ。『湖底の空』が上映されるのは幌加内町。蕎麦の作付面積が日本一の町で、町民の方々は蕎麦打ちの段位を持つ。
 それにしても北海道は広い。旭川空港から車で山を回り込むように走り続けて、ようやく幌加内入り。そして、施設も大きい。会場の幌加内町生涯学習センターには図書室から郷土学習館、陶芸室やアトリエまであり、上映会場のホールも立派。これを使わないのはもったいない。

 今年から始まった映画祭なので、地元への浸透はまだまだなのかもしれない。でも、MACHの志は高く、映画文化の発展と継承は目指して、8月は森町、9月は別海町と続く。
https://hokkaido-movie.com/

 映画はスマホで見られる時代。でも、発光体より投影されるものを見るほうが体にいいそうだよ。