二階のどこかで、鳥たちの羽ばたく音や騒がしい鳴き声がするので見に行ったところ、この家は立地の狭小さとは裏腹に、他の家にはない空間の歪のようなものがあるようで、どうやらそこに鳥たちが迷いこんでいるようだ。
二階のバルコニーには全く鳥たちの気配はなく、その鳴き声を頼りに二階を壁伝いにちょうど裏側に廻ると、そこには足場が片付けられていない、未だに建築中のようにも見えるバラックのようなバルコニーがもうひとつあり、そこの軒の上で鳥たちが騒いでいる。
狭い軒の後ろには屋根がなく、雨風が屋内に入り込みそうな気がして、これは欠陥建築というものかもしれないと、少し憤慨した。バルコニーの建物側の足下は一階まで吹き抜けになっており、鳥の排泄物が階下に落ちるのではないかと心配になる。
鳥たちの発する音は尋常ではなく、バタバタと羽ばたく音が聞こえるくらいなので、大型の種がいるに違いないと思ったが、予感通りに朱鷺のような大きな鳥が三羽もいた。
どのようにして体を支えているのか知らないが、爪のある大きな足によって、まるで虫がするように垂直な壁にとまり、長い体を延ばしてこちらを見て啼いている。
その後ろには嘴の尖った大きな鴉が羽をバタつかせて、朱鷺のような鳥たちを威嚇しており、堪り兼ねた鳥たちは一斉に飛び立ってしまった。目的を失ったかのように、鴉も飛び立ち、先ほどまでの騒々しさがまるで嘘のように辺りは静かになった。
すると今度は吹き抜けの天井から巨大な青虫がぶら下がっているのに気づいた。体色は薄い黄緑の蛍光色で、どちらかというと毒々しいスライムのような色で、節のある体を重力に任せて最大限伸ばしている。
そのうち青虫の体は、初期に比べて倍以上の長さになり、その分胴回りは棒のように細くなった。これは世にも珍しい虫だと思い、写真に撮ろうと階下に下りると、虫はさらに体を伸ばしていて、頭が床に届こうとしていた。
頭は長い胴体と比べて大きく、粘性の高い液体を垂らしたときの雫のように見えた。頭が床に着くや否や、体は一気に丸い塊に変わり、ぐにょぐにょと形を変えた。最後は小さなハイヒールのようになって部屋の隅に逃げ出した。
捕まえようとすると、今度は紙のように薄くなって床に拡がった。私はふとこの黄緑色の紙のような生物に穴をあけて、輪のような形状になっても生きていけるものだろうか?と考えた。
久々に見たサイエンスフィクションめいた夢であった。鴉は最近よく見かけるし、青虫は今年の夏にうちの花壇で見つけた。
