東日本大震災と福島原発事故のせいで人生を狂わせてしまった人は思いのほか多いような気がする。人生を左右されるほど重症でないにしろ、ブロガーの中にも「3.11」以来ブログを一切更新できなくなったり、積極的に原発反対運動に身を投じてしまった人もいる。もはや「3.11」以前には戻れなくなってしまっている。ほかならぬ私も未だに出口のない厭世感に囚われたままで、その感覚となんとか折り合いをつけながら、不安定な精神状態を抑え込んで東京に住んでいる。

Elephants

上野動物園のナイト・ズーでは、象の畜舎の前で黙々と藁を食べる二頭の象をずっと見ていた。そうしている間、眩暈のするような不吉なデジャヴに襲われた。漏れ出た青い光、巨大な象のシルエット、地面の藁、足元まで映る檻の枠の影、そして象の影、特に長い鼻の影、それらはどこかで見た光景。

象は賢い動物だ。人間が毒入りの餌でで薬殺しようとしても、下心を見破って決して餌を食べようとしなかったらしい。そして象は痩せ細って衰えていく。もはや象の足は二度と巨体を支えることができなくなり、そのまま象は死に至る。象の墓場は見つからないというが、ここに死んだ象は少しずつ腐敗して溶けていく。そういう酸鼻を極める光景を見たような気がする。

帰宅してからデジャヴの元がいったい何だったのか、いろいろ考えた。このようなときインターネット検索は便利なツールの筈だったが、なかなか目的のものに行き着かず、代わりにチェルノブイリの「象の足」という恐ろしい写真を見つけてしまった。炉心溶融により核燃料が溶け出して金属とコンクリートに混じりできた固形物が「象の足」のように見えることで名づけられたらしい。