五島美術館に出かけたのは何も灯籠を見たかったわけではなく、裏千家の寄合に出席したかったわけでもない。開催中の「茶道具取合せ展」を見たかったのだ。何しろ展覧会のポスターはほかでもない、大名茶人 古田「へうげもの」織部の名品「黒織部沓形茶碗」 銘わらや だ。 山田芳裕「へうげもの」の連載を愉しみに待つ読者としては、この作品の舞台、安土桃山時代の実物の茶道具を見て作品を追体験できるので見逃すわけにはいかない催しだった。この美濃「黒織部」は、轆轤で円く成型した茶碗を故意に沓形に変形させたうえ、鉄釉を施して焼いたものだが、鉄釉ののらない窓の部分の桝目に同じく釉薬で描かれた黒の三角と円の幾何学抽象文様がことのほかモダンではないか。なんだかクレーの絵のようだ。そういえば五島・東急は今 Bunkamura で「ピカソとクレーの生きた時代展」というのをやっていて、そのポスターはほかならぬクレーの絵↓であった。こういうのは、サブリミナル効果を狙っているのかもしれない。


ほかにも重要文化財「鼠志野茶碗」銘 峯紅葉、古織の師 利休の愛した「芦屋真形霰地紋釜」などが心に残った。ポスターには、予約なしで先着20名に限り茶室の見学ができる。と書いてあったが、既に朝から20名超が茶室見たさに並んで待っていた。