繰り返して夢に現れる街。何故か、そこを訪れるのはいつも夜である。鉄道駅の至近に、高層の、とはいっても周辺の建物が低いせいで目立つだけなのだろうが、教会のような外観の古風なホテルがあり常宿になっている。駅前から海に向かってなだらかな傾斜のある通りがある。白熱灯の光がまばらな暗い通りは、車が通れないほど狭く、水溜まりが随所に見られる。そのような場所なのに人通りが絶えないのは不思議な気がする。沿岸に工場があるのかもしれない。
駅を背にして右側の方向に出かけてみたことがある。その一帯は、格子状の区画に平屋の家屋が整然と立ち並んでいて、どこか殺伐としていた。どの家も通りに面した間口はアルミサッシのガラス引き戸になっていて、蛍光灯が灯された白くがらんとした室内が丸見えである。ガラスの一部には黄色やピンクのセロハン紙が貼られていて、色のついた光が通りまで洩れ出ている。韓国の鉄道駅の近く、例えば慶州で目にしたことのある風俗街のようにも見えたが、売春する女性の姿はおろか男性客の姿もどこにも見えない。灯りを点けている意味がよく判らない。

平屋の集まる一角を抜けると、大きな運河に突き当たる。運河の向こうには、湾岸線というのか、高速道路の高い桁が見え、その向こうに巨大な工場の影が見える。
今回、運河の河口の近くから駅まで戻ることになった。どうやら、この地は埋め立てられた島地で、駅が陸地との結節点になっているようだ。長崎にある出島が大きくなったような構造といおうか。その出島の海岸線をなぞるように周縁部分には道路が作られている。道路脇には二、三の例外を除いて建物はなく、見渡す限り雑草のはびこる空き地が広がっている。
例外的に海沿いに建つ建物を後にして、夜道を駅へ向かう私。どこか遠くで野犬が争って哭いている。視界に広がる空き地のいずれもが将来の建設用地で、周囲には柵が立てられ金網が張られているものの、中にバラックのような家を建てて住んでいる不届きものがいる。自分のもの以外、足音は聞こえないが、そんな場所をひとりで歩くこと自体、物騒極まりない。おまけにこの日は何故かヒールの高いサンダルを履いていて、舗装の裂け目に引っ掛かって何度も転びそうになる。
バスがやってきたので、これ幸いと乗ることにした。座席が地下鉄のように向かい合っていて、ピンクのシャツの男と白いブラウスの女の間の空きスペースに座った。私がバス路線図を開いて見ていたら、ピンクのシャツの男は、路線図が肩にあたったなどと難癖をつけ出し、終いには地図を取り上げて破いてしまった。男は破くや否や反省したのか、申し訳ない、弁償するから。と、200円を手渡して足早にバスを降りてしまった。今度は、大人しかった白いブラウスの女の様子がおかしい。田丸麻紀似の女は、例の関西弁で話しかけながら、ブラウスの前をはだけて下着を見せている。
駅を背にして右側の方向に出かけてみたことがある。その一帯は、格子状の区画に平屋の家屋が整然と立ち並んでいて、どこか殺伐としていた。どの家も通りに面した間口はアルミサッシのガラス引き戸になっていて、蛍光灯が灯された白くがらんとした室内が丸見えである。ガラスの一部には黄色やピンクのセロハン紙が貼られていて、色のついた光が通りまで洩れ出ている。韓国の鉄道駅の近く、例えば慶州で目にしたことのある風俗街のようにも見えたが、売春する女性の姿はおろか男性客の姿もどこにも見えない。灯りを点けている意味がよく判らない。

平屋の集まる一角を抜けると、大きな運河に突き当たる。運河の向こうには、湾岸線というのか、高速道路の高い桁が見え、その向こうに巨大な工場の影が見える。
今回、運河の河口の近くから駅まで戻ることになった。どうやら、この地は埋め立てられた島地で、駅が陸地との結節点になっているようだ。長崎にある出島が大きくなったような構造といおうか。その出島の海岸線をなぞるように周縁部分には道路が作られている。道路脇には二、三の例外を除いて建物はなく、見渡す限り雑草のはびこる空き地が広がっている。
例外的に海沿いに建つ建物を後にして、夜道を駅へ向かう私。どこか遠くで野犬が争って哭いている。視界に広がる空き地のいずれもが将来の建設用地で、周囲には柵が立てられ金網が張られているものの、中にバラックのような家を建てて住んでいる不届きものがいる。自分のもの以外、足音は聞こえないが、そんな場所をひとりで歩くこと自体、物騒極まりない。おまけにこの日は何故かヒールの高いサンダルを履いていて、舗装の裂け目に引っ掛かって何度も転びそうになる。
バスがやってきたので、これ幸いと乗ることにした。座席が地下鉄のように向かい合っていて、ピンクのシャツの男と白いブラウスの女の間の空きスペースに座った。私がバス路線図を開いて見ていたら、ピンクのシャツの男は、路線図が肩にあたったなどと難癖をつけ出し、終いには地図を取り上げて破いてしまった。男は破くや否や反省したのか、申し訳ない、弁償するから。と、200円を手渡して足早にバスを降りてしまった。今度は、大人しかった白いブラウスの女の様子がおかしい。田丸麻紀似の女は、例の関西弁で話しかけながら、ブラウスの前をはだけて下着を見せている。