
色づいた広葉樹林の遊歩道色づいた広葉樹の林を、天命稲荷からさらに進むと、戸隠神社奥社の参道にぶつかります。そこには「随神門」という赤い山門があり、門を潜ると景色は一変します。これまでの広葉樹に代わって、背の高い樹齢四百年の杉の並木道が戸隠山中腹にある奥社の近くまで続くのです。その景色は参道というよりむしろ前方に立ちはだかる壁のように威圧的です。杉の幹の垂直性がいやがおうでも人間のサイズの微小さを意識させる、それはどこかゴシック様式の教会に面したときの印象に似ています。
「随神門」近くの杉並木の参道はさしたる傾斜もないのですが、進むにつれて傾斜は二次関数的に増えていき、最後には急な階段が待っています。神域に近づくには、感覚のみならず肉体にまでもゴシック的な体験を課せられているような気がしました。これはまさに自然の地形を活かした宗教装置なのかもしれません。

面白かったのは、杉の巨木の根っこや、幹の洞(ほこら)。特に↓のほこらが HR Giger みたいで存在感があって生々しかったです。大人が中に入れるくらいの大きさなので、かつて忍びの者が敵から逃れてこの中に隠れていたのかもしれません。

Tomotubby もさっそく中に入って記念写真を撮ったり、出産ごっこ(恥)をしたりして遊んでいたんですが、ふと、ほこらの中から外を見ていると、恐れ多くも天岩戸から外を覗く天照大神になったような気がしました。そして6月に世田谷美術館で見た横尾忠則の大作「天の岩戸」のことが頭に浮かびました。

横尾忠則「天の岩戸」(1985) 第13回パリ・ビエンナーレ展に出品されたもの