ブリュッセルを初めて訪れたとき、グランプラスにほど近い場所に立つ小便小僧(Manneken-pis)ジュリアン君に会いに行きました。



世界中でおびただしい数のコピーが作られ、日本では公園で見かけるだけでなく飲料のCMなどでもお馴染みなので、特段彼の姿に違和感を抱きませんでした。むしろ多くのコピーを見たせいで、自分が彼のことをセラミック像だと思いこんでいたことに驚きました。四百歳になろうとしている彼が、壊れやすいセラミックであろうはずがなく、実際は黒光りするブロンズ像なのでした。

そして小便小僧は噴水であることを再認識しました。

それで、今回ふと思いついたのが、例の時価4億円の小便器、マルセル・デュシャンの「fountain」です。日本語では「泉」と訳されていますが、篠原資明氏は「噴水」が正しいと書かれていました。しかし便器はあくまで受け皿なのです。もしかすると、デュシャンは小便小僧という「噴水」を想起しながら、レディメイドの小便器に「fountain」と名づけたのではないか?と思えたのです。

これ、新説だと思います。


マルセル・デュシャン「fountain」

つづく