カリスマ指導者であった小平没後、社会主義革命を経験した当事者たちが政治の場から退出し、中国は求心力を失ってしまいます。さらに資本主義の導入が中国全土にさまざまな社会格差を産み、国内経済に歪みが生じてしまいます。体制維持の危機を感じ取った新世代の中国首脳たちは、古今東西、世の権力者の常套手段であったように、人心を外に向けることで危機を乗り越えようとしました。生け贄に選ばれたのが日本。彼らは民衆に対して、日本を「悪者」に仕立て中国をその「被害者」として、極端な誇張や嘘までが含まれる歴史教育を行うのです。

一方、日本においては、マスコミの影響で、中国の動きに同調するかの如き自虐的な歴史観が幅をきかせています。教科書が国定の中国や韓国、北朝鮮と違い、本来いろいろな歴史解釈ができ、比較できる筈の日本なのですが、歴史に疎い人たちは、テレビや新聞を通じて流されるマゾヒズム史観によって、知らず知らずの間に洗脳され、自国に自信が持てなくなり、愛国心を害ねているのです。

今回読んだ文春新書「歴史の嘘を見破る」は、中国発の誇張され嘘の含まれた歴史認識を正し、日本人の中にわだかまる得体の知れない後ろめたさから心を解き放ってくれる一冊ではないかと思います。願わくば続刊として「歴史の嘘を見破る 日韓近代史の争点」も出版して欲しいものです。

自国の都合の悪い点は封じ込め、都合のよい点は白髪三千丈で誇張、歴史を捏造し、反対意見は妄言として耳を貸さないという態度は、中国と韓国・北朝鮮に共通しています。本書でも指摘されていましたが、これらの国には前時代的な「中華思想」が染みついており、自国がいつも中心でなければ気が済まないという傾向が強いようです。本来、「中華」「小中華」でなければならない彼らにとって、「東夷」の小国にすぎない日本に戦争で負け、或いは併合された歴史は忘れることのできない屈辱です。彼らは、自らの手で勝ち取ったとはいえないにしろ、第二次大戦後、敗戦国日本から自由を取り戻し、一度は溜飲を下げることができました。人心を集結し挙国一致で「東夷」の「悪者」を懲らしめることができたことで、再び中華の自負を取り戻せたのです。しかし敗戦国であった筈の日本の経済はいつしか不死鳥の如く復活し、彼らは今もその後塵を拝しているのが現実です。

「本来負ける筈のない日本に負けている。そんな自国が許せない。日本は何か狡いことをしている。そうに違いない」

WBCで日本に負けた韓国の反応を思い出しました。

「狡猾な日本を糾弾しなければならない」

こうして食い違いがだんだん大きくなってきたのだと思います。