久々の九分の記事です。

侯孝賢傑作選DVD-BOX 90年代篇」に続いて発売された「侯孝賢傑作選DVD-BOX 80年代篇」を買って、映画「戀戀風塵」を見直しました。実は「戀戀風塵」のLDソフトを持っているんですが、LDプレーヤーが壊れてしまってから見ていませんでした。「戀戀風塵」は侯孝賢の1987年の作品で、1989年の「悲情城市」の直前に撮られた映画ですが、どちらも九分の街がロケ地になっています。「悲情城市」が1940年代末の台湾の悲劇を描いたのに対して、「戀戀風塵」は1960年代末、20年後の高度成長期に入る直前の台湾の、名もない若い男女、阿遠と阿雲の淡い恋が描かれますが、現地に行ってみると、映画の舞台となった九分の印象的な風景は今ともあまり変わっていないように感じられました。


この写真は「昇平戯院」という映画館だった建物を、「阿妹茶酒館」から撮った写真ですが、「戀戀風塵」の看板がかけられています。クリックすると拡大します。

「昇平戯院」は、台湾の最も古い劇場建築のひとつです。1914年に現在とは違う場所に建てられた木造建築で営業を開始し、1934年に現在の場所に移されました。当時は一階が石造りで二階が木造でしたが、1951年に鉄筋コンクリートで立て直され、この遺構が現在も残っています。鉄筋の建物は、一階が前方に向かって傾斜し、二階は馬蹄形になったよくある劇場建築で、千人を収容できたといいます。鉱山の全盛期はさぞや賑わったことでしょう。映画のほかにも歌仔戯(歌劇)、新戯(新劇)、布袋戯(人形劇)が演じられたそうです。鉱山事業が衰退するとともに、九分の娯楽事業は影響を受け、昇平戯院も1986年に営業を停止します。おそらく最期は、蔡明亮監督の映画「さらば、龍門客桟」に出てくる映画館みたいだったのではないかと思います。この建物の周辺は、日本で言えば昭和初期の古い建築が保存されていて、映画のロケ地としてよく使われています。今村昌平監督の「女衒 ZEGEN」にも出てきますので、いずれご紹介しようと思います。

「豎崎路」と「輕便路」の交差点、「昇平戯院」周辺の360度パノラマ写真が見つかりましので、どうぞ:-
その1
その2

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侯孝賢傑作選 DVD-BOX 80年代篇

■収録内容
「恋恋風塵」:60年代から70年代の物語。中学を卒業した、幼馴染の阿遠と阿雲は台北に出て働き始める。慣れない都会暮らしの中で、二人に恋が芽生える。清楚で、そして悲しい恋はやがて…。青春の痛みが、胸に刺さる。(1987年ベルリン国際映画祭・フォーラム部門招待作品、1987年ナント三大陸映画祭・最優秀撮影賞、最優秀音楽賞)
「童年往事 時の流れ」:「この映画は、私の子供時代の思い出である…」台湾が激動した50年代から60年代を舞台に、少年阿孝の成長 ― 悪戯、入試、初恋、別れ ― を、家族との日常のなかに描いていく。静謐な郷愁、そして悲しみを湛えた傑作。(1986年ベルリン国際映画祭・国際映画批評家賞 / 1986年ロッテルダム映画祭・最優秀非欧米映画賞 / 1986年ハワイ映画祭・特別賞 / 1986年アジア太平洋映画祭・批評家賞)
「冬冬の夏休み」:1984年の夏、小学校を卒業した冬冬は、台北駅で妹のと電車に乗った。これからの夏休みを田舎の祖父の家で過ごすのだ…。美しい田園風景のなかで繰り広げられる、懐かしさと優しさに満ちた日々。全作品の中で最も愛される作品。(1985年ナント3大陸映画祭最優秀作品賞 1985年アジア太平洋映画祭最優秀監督賞)
「風橿の少年」:80年代の中頃。田舎の村、風櫃に暮らす不良少年、阿清は、喧嘩が元で高雄へと旅立ち、その都会の片隅で暮らし始める。若いことの無残さ、恋へのあこがれ。侯孝賢の自伝とも言われる、青春映画の名作。(1985年アジア太平洋映画祭最優秀監督賞)

■特典内容(各巻共通)
(1)すべてニュープリント原版
(2)新翻訳での字幕収録
(3)BOX封入特典として特製ブックレット(全24P/川本三郎氏他執筆)
(4)製作関係者のインタビュー
(5)フォト・ギャラリー