前回に続いて香港ネタです。

神田の古本屋さんで手に入れた画家・谷川晃一氏のエッセイ集(谷川氏の本探している人結構います。でも、この本、新刊で買えます。がっくし)です。副題が「がらくた・キッチュ・フォークアート東西南北縦横無尽」と、なんとも面白そうなので、手に取ったのですが、谷川氏といえば「虎豹別墅愛好会」主宰者で、世界初の「虎豹別墅案内」といえる新潮文庫「タイガーバーム・ガーデン」(絶版)の著者。何か面白い記事があるかもしれないと思い、ページをめくると予感が的中。ずばり「タイガーバーム・ガーデン」というエッセイがありました。

この本は1988年9月1日に初版刊行なのですが、香港にあるタイガーバーム・ガーデン「胡文虎花園」について書かれた当のエッセイは1984年10月1日付けの「新美術新聞」に掲載されたものです。さらに、文中ではさらに遡り、1982年7月1日の同ガーデンに関する新聞記事についての言及があります。つまり、20年以上前のタイガーバーム・ガーデンを知るための貴重な文献というわけです。

まず、1982年7月1日付けの「朝日新聞」の記事に関する言及ですが:-

約一万坪の広大な奇想庭園は、持ち主である『萬金油』売りの華僑、胡文虎氏の遺族からその所有権を買い取った新興財閥の李嘉誠氏がこの庭園を取り壊し、そのあとに、高層マンションを建てるということになり、工事はすでに着工されているという記事が写真入で掲載されていた。
とのことで、このキャピタリズムの暴挙について、谷川氏は慨嘆されています。ところが5年ぶりに(日時が特定されていませんが、1982年夏から2年の間でしょう)香港を訪問した谷川氏は、壊されていないタイガーバーム・ガーデンを見つけます。

ところが五年ぶりにやってきた香港で私はタイガーバーム・ガーデンがまだ残っているのを目撃した。とはいえ朝日新聞の報道がまったくの嘘だったというのではない。この庭園はたしかに取り壊され、その跡地には超高層マンションが建てられつつあるが、それは約半分で残り半分はそのままになっているのみならずこれまで見かけなかった巨大な種豚やバクやサイ、アシカのハーレムなどの彫刻や地獄絵のレリーフなどがいつのまにかところ狭しとばかり新設されている。敷地面積は減少したが彫像密度は濃くなっているのだ。
Tomotubby の知っている香港のタイガーバーム・ガーデンとは、超高層マンションが建った後の「胡文虎花園」です。既に約半分が取り壊されていたわけですが、階段を上がったかなり上の方の斜面に群がるアシカの大群や、マンション敷地との境になったどこか滑稽な地獄絵のレリーフなどは、この取り壊し以降に新設されたものだったわけです。これは意外な新事実でした。


アシカのハーレム。せっかく半分残して新設までしたのに結局全部取り壊してしまうとは.....

この記事をアップした後、新潮文庫「タイガーバーム・ガーデン」を眺めていたら、このエッセイとほぼ同じ内容の記述が見つかりました。調査不足ですみませんです。(Pet 君、御指摘さんきゅぅでした)