「孫悟空大閙龍宮」は「西遊記」からの演目です。この魅力的な長編小説のごく最初の部分になります。あらすじは、こんな感じ:-

花果山で猿たちの王となったが、手頃な武器が見つからない孫悟空は、海の底の東海龍王敖広の龍宮に立派な武器があると聞きつけ、閉水の術を用い水を分けて龍宮に行き、亀と蝦の兵士を随えた龍王と会って武器をねだる。龍王は不届きな猿だと思いつつも、下手に暴れられると面倒なので、水族の家来に命じて、矛を持って来させる。悟空はこれをくるくると回してみるが気に入らず、図に乗ってさらに別の武器を求める。龍王はいろいろな武器を示すが、いずれもが悟空には軽すぎる。龍姫が、それなら「定海神針」を貸してやればどうかと、龍王に耳打ちする。「定海神針」は、その昔、江海の深浅を測るのに使ったという巨大な鉄の棒で、重さは一万三千五百斤、重すぎてとても武器には使えないと判断した龍王は、これを悟空に試させるが、悟空はこれを軽々と使いこなして大いに気に入ってしまう。これこそがかの有名な「如意金箍棒」である。龍王はたいへんなものを与えてしまったと後悔して、棒を返すように求めるが、既に手遅れ。悟空は、龍王、水族の兵士を相手に、龍宮で大暴れしてしまう。

このお芝居で特筆すべきは、なんといっても孫悟空役の馬征宏さんの「武丑」としての演技です。人を食ったようなユーモラスな孫悟空の仕草には観客からの笑いが絶えず、雑技のような軽業と「定海神針」などの武器を自在に操る神技のような演技には拍手が絶えませんでした。孫悟空役は難しいため、中国でも演じる人が限られており、馬さんが日本へ単身移り住んだのは、中国にとっても手痛い人材流出だったのだそうです。

小説では、龍王の家来は蟹と蝦だったと思いますが、舞台では蟹の代わりに亀が登場していました。亀の役は「三岔口」で劉利華を演じていた人で、蝦の役は任堂恵を演じていた人でした。Tomotubby は、タイガーバーム・ガーデンの「白蛇伝」や「八仙過海」の場面に出てくる水族の像を思い出してしまいました。案外、タイガーバーム・ガーデンにある像は、京劇をモチーフにしているのかもしれません。龍王は御大・張春祥氏、龍姫は「小上墳」に続いて廬思さんが演じていました。