
かつてJCOだか、JOCだかのウラン原子燃料工程で起きた臨界事故では、被曝した作業員の尊い命が犠牲となりました。要は、浴びた放射能が全身の細胞に達して、あちこちでDNAの鎖がずたずたに切れてしまい、総体としての、生体として機能しなくなったわけです。と、いきなり脅かしたりします。
紫外線も、程度は違えど皮膚細胞のDNAに反応して傷を与えます。これを称して「日焼け」と呼ぶのですが、人間の場合は、飼犬や、他の生物よりずっと寿命が長いことからしても、本来免疫力が高くて、少しくらいDNAに傷がついても、体に備わった高度な自己修復能力により傷を治してしまいます。二重螺旋構造のDNAは上手くできていて、一対になった塩基の一方に傷がついても、他方が生きていれば、それを型にして再生が効くのです。真っ黒に日焼けしても、地黒の人は別として、時間がたつと褪めてしまうのは、このせいです。
しかし、成長過程において、熱帯の炎天下や日焼けサロンで、過度に、集中的に、紫外線を浴びてしまうと、自己修復が追いつかなくなり、深いダメージを負ってしまうことがあります。体の中の、DNAの塩基配列(つまり、アデニン、チミン、グアニン、シトシンの並び)が狂ってしまい、DNAの情報によって指定されていたアミノ酸の種類が変わることで、生体を形作るタンパク質の遺伝子の性質までが変わってしまうのです。タンパク質の中には傷ついた細胞を補うために、細胞を増殖させたり、反対に増殖を抑制する役割を果たすものがあるのですが、たまたま増殖が暴走してしまったり、増殖を歯止めするものが働かなくなると、とめどなく増殖が起こり、細胞は「癌化」してしまうのです。
大昔からいらっしゃる「サーファー」はまあ自業自得だからやむをえないにしても、高校に通う短期間に、友達に誘われるなどして日焼けサロンに通い、集中的な紫外線照射により日焼けを繰り返していた「第一期ガングロ(顔黒)」世代、「ヤマンバ」の多くは、気の毒なことに、これから悪性黒色腫を発症する高いリスクを負っているのです。
「ガングロ」のゆりもどしとして、アユと、故・鈴木その子を象徴とした「美白」の流行を経て、再度現れ、いつしか消えていった(まだいるかも?)「第ニ期ガングロ」世代、「マンバ」たちは、先輩たちの荒廃した肌を見て学習したのでしょうか、日焼けサロンからは遠ざかり、化粧で顔を黒くしていると聞きました。それで、正解。
そういえば、熱帯の国々の人たちは、膚こそ黒いですが、炎天下で海水浴などはしないし、海に入っていても服を着ていたりします。中国・華南の人たち、そこから海を渡った華僑の人たち、そしてベトナムの人たちも色白は美徳で、常に帽子をかぶり、むやみに肌を焼いたりはしません。熱帯に棲む動物にしても、多くが夜行性です。まるで、DNAを傷つけないように日光を避ける遺伝子が予め組み込まれているかのごとくです。となると、20世紀に突如現れた「サーファー」や「ガングロ」とは何者? 日焼けする前に環境ホルモンか何かで「日焼け抑制遺伝子」を失った突然変異種なのかもしれませんね。
6万6000人のご冥福をお祈りいたします。
死化粧は「ガングロ」なんかにしないから、御願い。化けて山姥になったりしないでね。
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日焼けサロンは“18禁”に 皮膚がん増えるとWHO
【ジュネーブ17日共同】世界保健機関(WHO)は17日、日焼けサロンなどで使われている紫外線ランプで人工的に日焼けの状態を作ると、皮膚がんになる危険が高まるとして、特に18歳未満の若者は日焼けサロンなどの利用を絶対に避けるよう勧告した。
WHOによると、世界中で年間13万2000人が皮膚がんの一種である悪性黒色腫にかかり、6万6000人が皮膚がんで死亡していると推計される。
悪性黒色腫の発生率はノルウェーやスウェーデンでは過去45年間で3倍以上、米国では過去30年間で倍以上になっており、WHOは日焼けマシンの利用増加が発生率急増の主因とみている。
(共同通信) - 3月18日6時34分更新