
老人に指摘されて気づいたのですが、九分の城隍廟には二階にも祠があり、吹き抜けから城隍夫人などが祀られているのが見えました。面白かったのは、入り口の内側の壁に大きな算盤がかけてあったことです。城隍爺はこの算盤を使って亡者の生前の善行・悪行をプラス・マイナスで計算して、最後の審判を下すわけです。
日本は、台湾を統治していた時代、台湾住民を日本人と同化(皇民化)することを目的に、台北の北、現在、圓山大飯店の建つ場所に「台湾神社」を建立しましたが、神道がいっこうに台湾で広まらないことを嘆いている一文が残っています。たしか、台湾人は土着の神である媽祖や城隍爺を祀り、各地でそれらの祭りを盛んに行っているが、台北神社にあまり参拝には来ない。やって来ても、二の鳥居あたりから社殿を見ているだけだ。というような内容だったと思います。
日本は中国と同様に多神教を奉じる国ではありますが、そのストイックなまでの信仰の様式は台湾の人にとって理解できないものだったに違いありません。閉ざされた社殿、神像の姿は見えず、そこにはいったいどんな神が祀られているのかがよく判らないのです。台湾では神のイメージは、極彩色とともに過剰なまでに溢れています。その姿は、簡単明瞭、誰にでも区別がつきます。
城隍爺の祭りでは、ガラスケースに入れられていた謝将軍・范将軍の被り物を着た人が外を練り歩くということです。親たちは、悪行をはたらくと、あの恐ろしげな将軍たちに地獄に連れて行かれるぞ。と子供たちに言い聞かせるのでしょう。城隍廟にかけた算盤も子供たちを戒める明瞭な道具に違いないのです。
ところで、この算盤、日本のに比べて珠が多いですけど。どうやって使うのでしょう??