雨は今日一番の強い降りに変わり、濡れた靴先から体が冷えます。ここは、亜熱帯台湾の温暖なイメージとは程遠い気候のようです。沖縄より南方なので、1月の沖縄を想定した服装でやってきたのですが、寒すぎます。前に11月の末に台北を訪れたときも、夏服を持ってきて後悔したことがありましたが、はっきりいって台北には四季があります。

夜の「輕便路」は、「基山街」や「豎崎路」のような賑わいは全くといってよいほど、ありませんでした。「基山街」や「豎崎路」が、ひたすら観光客を呼び込むための一大装置だったのに対して、ここはそっけないほどの生活空間なのです。「輕便路」を少し進むと、暗い通りの両側はなんのへんてつもない民家、そこには九分住民の生活がありました。日曜の夜、日本ではTVで「ちびまるこちゃん」や「サザエさん」でも見ている時間でしょうか。住民は家屋の中で夕飯を囲んでいるのでしょう。通りを窺う人も、すれ違う人もいませんでした。

くねくねした「輕便路」を進み、随分歩いた気分にさせられたとき、前方の闇の中にぼぅっと廟が見えました。この廟こそが目的地、この土地の神様を祀った「城隍廟」で、汽車路、字の通りの自動車道、バス通りに面していて、バスで九分にやって来たときにも垣間見えました。つまり九分の街のいちばん東側まで来たことになります。(九分の地図ご参照)

九分にはいくつもの寺廟があるのですが、雨のせいもあり、今宵はここだけを訪れることにしました。どうして最初に「城隍廟」を訪れたのかというと、あの得体の知れない「怪物」に会えるかもしれないと思ったからです。