DVDで今年最初に観た映画。1989年のヴェネチア映画祭のグランプリを受賞した台湾の映画です。日本の支配が終わった1945年から、国民党政府がやってくる1949年までの、台北縣基隆と九份に住む台湾人一家林家の兄弟の悲劇を描いたもので、1947年2月28日に起き、それ以降タブー視されていた国民党政府による民衆弾圧事件「二・二八事件」についても触れられています。

映画が作られた頃の台湾がどんな時代だったかというと、1987年に40年に亘って施行されていた戒厳令が解かれ、1988年に蒋経国の死去により、最近来日した李登輝が総統になった時期なのでした。しかし台湾に自由化の波が訪れたとはいえ「二・二八事件」を話題にするのは未だタブーで、ヴェネチアで賞を貰った映画とはいえ本国内は公開すら危ぶまれていたのでした。そんなとき、李登輝総統がこの映画を鑑賞し、素晴らしい映画なのでみんな観るべきだと述べたことで、その言葉が免罪符となり、映画は大ヒットしたとのことです。

映画では、四人兄弟、長男の義弟、四男の義兄が皆、時代の犠牲となるわけですが、彼らを悲劇に追いやったのは、日本人(次男)であり、国民党政府(四男)であり、また外省人(長男)であり、同胞の本省人(三男)でさえあったのです。台湾人(本省人)とは一体誰なのか? この映画を観る経験は、長らく外国の支配を経験してきた台湾人に、改めてそのアイデンティティを問うものだったのだと思います。