ローマの北方、ラツィオ州ヴィテルボ県にある山岳都市ボマルツォ。ローマに続くテヴェレ川の右岸に連なる稜線の南端の見晴らしのよい高台に、船のような形をしたこの町はあります。私たちはフィレンツェからローマに延びるハイウェー「太陽道路」を降りて、一転、不安になるような田舎道をヴィテルボ方面へ向かう途上、この町を見つけました。そう、ここには名にし負う「怪物庭園(Il parco dei Mostri)」があるのです。



この日は温泉の街キアンチャーノ・テルメの宿を出発して、途上、ピェンツァ、オルヴィエートに立ち寄ったため、お目当てのボマルツォに着いたのは既に午後3時。トスカーナ州は天気が良かったのですが、ラツィオ州に入ってからは空は曇り、実際の時間より暗く感じられました。曲がりくねった坂道の上にあるボマルツォの町は、トスカーナの多く山岳都市がそうだったように中世のまま取り残されたような風情です。そのうえ、道行く住人も少なく、観光客も皆無に等しい、うら寂しい町なのです。

「Il parco dei Mostri」の標識を頼りに車を進めたのですが、高台の小さい町を素通りしてしまいました。この町を有名にした「怪物庭園」は、これまで見てきたイタリア庭園が丘の斜面に作られていたのと違って、潅木の茂る暗い谷の底にあるのでした。