中国保利集団が疑わないように、彼らの保有する牛・虎・猿・豚の4体の像は本物で、犬の像は贋物なのでしょうか?

実は、中野美代子先生の近刊著書「あたまの漂流」(岩波書店 2003)に、2000年に開かれた牛・虎・猿のオークションのことが触れられていて、150年前に撮影され一枚だけ残された圓明園・十二支噴水のありし日の写真が、何重義・曾昭奮・共著「圓明園園林藝術」(北京・科学出版社 1995)から転載されています。

この写真を見ると、オリジナルの動物の坐像は6体ずつ、ほぼ向かい合って並んでいたようで、珠海・圓明新園にリメイクされた噴水の扇状に広がった配置とは異なっています。左側は手前から豚、鶏、羊、蛇、兎、牛と並び、右側は奥から手前に、鼠、虎、龍、馬、猿、犬と並んでいます。牛や虎のように、奥の方に位置する像は残念ながら小さく不鮮明ですが、問題の犬、豚、ひとつ奥の猿の3像は比較的鮮明に写っています。

オリジナルの像の拡大写真と、このたび世に現れた像の写真を並べて検証してみましょう。


まず、豚からですが、両者は似ているといえば似ていますが、はっきりいってよく判りません。新発見の豚の像に側面写真がないことが悔やまれます。


次に疑惑の犬の像です。左写真の手前がオリジナルの犬の像ですが、のっぺりとした細面、東洋的な顔つきをしています。やはり、新発見の犬の彫りの深い顔立ちとは全くの別物です。首まわりもオリジナルはずっと細いように見受けられます。やはり犬の像は贋物と断定してよいでしょう。


最後に犬の後ろに位置する猿の像ですが、犬と並んだ写真では小さくて判りにくいので、拡大してあります。すぐ判るのは、両者の耳の位置が違うことです。オリジナルは側面に大きな耳が見えますが、新発見の猿の耳は小さく頭部に乗っています。犬ほどに決定的に違ってはいませんが、両者はやはり別物でしょう。

こうしてみると、保利集団が大金を支払って手に入れた像も果たして全てが本物なのか? 怪しい限りです。150年前に屈辱的なやり方で国宝を掠奪され、長い年月を経て、晴れて祖先の遺産を買い戻すことができる経済力を宿した中国民族は、大願成就ならず、またしても騙されるのでしょうか。贋物を掴ませられることで、その誇りは、またしても傷つけられるのでしょうか。今もって西洋列強に搾取され続けているアジアの国が憐れでなりません。

つづく