マティスのコレクションを質量共に所有している美術館を三つ上げるとすれば、今回上野での展覧会に出展された作品のうちの多くを持つパリのポンピドゥーセンター・国立近代美術館、ニューヨーク近代美術館(MOMA)、サンクトペテルスブルクのエルミタージュ美術館になると思います。

これらに比べると規模は小さく、コレクションの数も少ないのですが、フランスに二ヶ所、特徴ある「マティス美術館」が、マティスゆかりの地にあります。

ひとつは、マティス生誕の地、パリの北方に位置するカンブレジの町外れ (村はずれと言った方がいいかも) にあります。所蔵作品はマティスが町に寄贈したものが中心で、3年前、これらを用いて、軽井沢メルシャン美術館において企画展が行なわれました。

もうひとつの美術館はマティスの愛した南仏コートダジュール、ニースの高台にあります。マティスは1917年以降、冬をニースで過ごすようになり、1920年代は「ニース時代」と呼ばれています。地中海を望むホテルの室内や、「オダリスク」の題で裸婦を描くのがこの時期です。

フランス国内に限れば、ポンピドゥーセンター、ニース、カンブレジが、マティスの三大コレクションではないかと思います。


カトー=カンブレジのマティス美術館のリーフレット

リーフレットの館内の写真で、奥に見える絵は、タヒチ島パペーテの海を描いた「タヒチⅡ」ですが、この絵のヴァージョンといえる「タヒチの窓」という絵がニースの方のマティス美術館にもあります。また前方の裸婦坐像は、(今、上野に来ている)フィラデルフィア美術館にあるものと同型の彫刻です。