胡文虎・虎文豹兄弟がシンガポールと香港の私邸の敷地内に財を注いで作った奇想の一大庭園タイガーバーム・ガーデン、青山政吉・政恵親娘が小樽祝津の地に鰊漁で得た財を惜しげもなく使い贅を尽くし建てた青山別邸、加藤秋太郎がオタモイ海岸の絶壁に作り上げた「龍宮閣」、江戸川乱歩「パノラマ島綺譚」の主人公・菰田源三郎が三重県?の孤島に作った人工楽園パノラマ島、(飛行機の中で読んだ)谷崎潤一郎「金色の死」の主人公・岡村君が箱根に遺産を一擲して創り上げた「芸術」、これらは皆、独特の美意識を持つ富豪が、財を「蕩尽」して創り上げた理想郷です。

人間が自分のやりたいことを我慢して財を溜め込むのは、不確実な将来を見通してのことだと思いますが、そのアンチテーゼとして、経済性や安全志向を捨てて、貯めこんだものを「蕩尽」することにこそ、人間は本来根源的な喜び、エロスを感じるのではないかと思います。Tomotubby はそういうエロスに魅力を感じるのだろうな。と思います。これってジョルジュ・バタイユの世界かな。

中途半端な資産家の場合、遺産を残された遺族には相続税の負担も大きく、遺産が現金なら納税されるだけだし、不動産でも、そんじょそこらの建物なら、売られて潰されるのが落ちです。できることならば、資産家の方には築いた財を生前にできるだけ使い切って頂いて、簡単に潰すのは惜しいなという不動産を遺して頂きたいと切に望む次第です。そのうち潰すのは惜しい不動産は、景観重要建造物指定、さらには文化財指定を受け、取り壊しができなくなる筈です。そこまでいかなくても壊そうとすると、物好きが立ち上がり、取り壊し反対運動をしてくれます。

不動産が一般公開されれば、それは共同体に対する、富の「贈与」であり「再配分」にあたるわけで、「贈与」や「再配分」こそが古来人間が共同体で行ってきた本性に根ざした行為だったのではないかと思います。