マカオへの高速フェリーは座席指定制であった。Pet は運良く窓側の席で、運悪く通路を隔てた隣には、垢抜けないスーツ姿のおっさん三人組が座っていた。きょろきょろしている。少し緊張気味なのが見てとれる。すぐ隣のおっさんのいでたちはというと、黒地にエンジのストライプのスーツ、ネクタイはしていないし、靴下は白、ベルトのバックルは金ピカ、顔は赤銅色に焼けており、スーツは普段から着慣れていないのが丸わかりである。多分お百姓なのだろう。フェリーが動き出した。三人とも緊張してはいるのだが、マカオに行くのが何かたいへん楽しそうで、目は爛々として、口元には笑みすらこぼれている。

おっさんのひとりがカラー版の「東スポ」みたいな新聞を読み出した。どひゃー。こんなところで拡げんといてくれー、というような内容である。大笑いしている。中国語で何か下品な冗談を言っているようだ。こうやってみると、船内は7対3くらいで男性が多いが、女性もいるのだ。うわー。セクハラ!!

おっさん、今度は入国カードを書くためか、懐からパスポートを取り出して、何か言っている。パスポートは見覚えのある中国本土のものだ。いいのか?中国共産党。開放路線かもしれないが、免疫のない人民のおっさんたちに、資本主義のいけない快楽渦巻く魑魅魍魎の巣窟、マカオなんかを見せていいのか?

Pet は中国人民の未来をひとり憂えるのであった。