接吻より甘く永遠より永く。サザンオールスターズ「涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日はサザンオールスターズ「涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜」(2003年リリース) です。




2001年〜2002年にかけて、サザンのメンバーが全員ソロ活動を行いました。特に桑田佳祐さんはシングル「波乗りジョニー」「白い恋人達」がミリオンセラーとなり、ソロ活動においてもその影響力を世間に知らしめたことは記憶に新しいです。原由子さんは1960年代の歌謡曲を中心にカバーしたカバー・アルバム『東京タムレ』をリリースし、サザンの活動とは違った一面を見せました。関口和之さんはライフワークと化していたウクレレ奏者としての活動を本格的に行い、ウクレレを使ったサザンのカバー・アルバム『World Hit!? of Southern All Stars』をリリースし、「関口和之=ウクレレ」のイメージが形成されてきました。松田弘さんは「架空のサウンドトラック」をイメージし、ゲスト・シンガーを招いて歌った『[FUTARI.]O.S.T』をリリースし、ひとりの音楽家としてサザンに頼らない音楽性を模索しました。野沢秀行さんは作品のリリース等はありませんでしたが、渡部篤郎さん主演のTBS系ドラマ「愛なんていらねえよ、夏」にレギュラー出演して俳優業に挑み、さらに他のサザンメンバーの作品に客演するなど、幅広く活動してきました。

しかしながら、その間にサザン史上1番のピンチを迎えます。ギター担当の大森隆志さんが2001年8月をもって脱退してしまいます。1人欠けたサザンはどうなるのか、ファンの心配もありましたが、2003年にデビュー25周年を迎え、同時に5人で再始動します。ファンの期待を一身に受けて制作された最初のシングルが、この「涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜」でした。

この曲は滝沢秀明さん主演のフジテレビ系ドラマ「僕だけのマドンナ」の主題歌として起用されました。


「僕だけのマドンナ」のワンシーン。

大学で建築を学ぶキョンこと鈴木恭一 (滝沢さん) が、ある日、自宅に帰るとベットで眠る一人の女性と出逢います。その女性・片岡するみ (長谷川京子さん) のマイペースさに振り回されつつ、そしてキョンの住むアパートの住民や、大学の同級生らを巻き込んだ、一夏のラブ・ストーリーとなっています。「月9」枠にて放送された、王道のラブ・コメディとなっており、当時タッキー&翼を結成して間もない滝沢さんの主演ドラマ、そして月9のヒロインに抜擢された当時新進気鋭の女優だった長谷川さんという組み合わせ、さらに小西真奈美さん、小泉孝太郎さん、真矢ミキさん、緒形直人さん、小堺一機さんといった豪華共演陣が話題となりました。ちなみに挿入歌として使われたのが、「希望の轍」でした。

サザン再始動一発目のシングルということもあり、サザンのパブリックイメージである「」をテーマにした曲となりましたが、桑田さんはそれまでのサザン作品や、ソロの「波乗りジョニー」とは少し異なる、ちょっと影があるような作風にしたといいます。

熱い砂のステージで 結ばれた女性(ひと)がいる
波と戯れる 裸のビーナス

熱い砂浜と冷たい海。ここで君と恋を始めました。砂浜で遊び、波ではしゃぐ君はまさに「ビーナス」でした。

君がいないビーチは 欲望の影もなく
黄昏が恋の終わりを 待っていた

しかし、いつしか君とは次第に距離ができてしまい、ビーチに君の姿は無く、黄昏だけが場を支配し、恋の終わりを予感付けるものとなっていました。僕が悲しみに暮れている様子が浮かびます。

僕だけの天使でいてと 囁いた夏の日は
情熱の秘め事に夢中 鼓動に酔いしれるだけだよ

あの時の二人にとって熱い夏。「僕だけの天使でいて」と君に愛の言葉を囁いたあの夜。そのまま愛を深めることになりますが、僕と君は夢中で「秘め事」に没頭し、緊張とときめきで胸の鼓動が激しく高鳴っていました。その鼓動すら愛しく思えるのでしょう。

コバルトブルーの涙の海で
人魚のような恋に 溺れたなら


コバルトブルーの海。

「涙」と出るとやはり悲しみや切なさをイメージするマイナスの感情を連想させます。僕と君はもう恋の終わりに近づいています。しかし僕はまだ終わったと思いたくないのです。コバルトブルーのように透き通った君の瞳。僕はそんな君の瞳から流れる涙で、広く深い海になって溺れたいという、君への愛を高らかに叫んでいます。恋に溺れたいという歌詞をロマンティックに書いた桑田さんの歌詞、誰にも書けません。

接吻(キッス)より甘く 永遠より永く
濡れた体に 愛をください

甘いキスよりもさらに甘く、そして永遠よりも永い愛を、僕は君に欲していました。まだ僕と君の夏は終わりません。

サザンらしいアップ・テンポのポップスで作られました。「TSUNAMI」のヒット以降は、挑戦的な作風は少なくなり、売れ線系のポップスが多くなってきます。曲のイメージは桑田さん曰く「1970年代初頭のアイドル歌謡曲」で、その手の作品を多く手掛けた作曲家・筒美京平さんの作品をイメージしてメロディーを書いたそうです。ストリングスとブラスも加わっており、島健さんと原さんが共同でストリングスのアレンジを、山本拓夫さんがブラスのアレンジを手掛けました。この曲から正式なギター担当が不在の為、殆どの作品でギターはサポートミュージシャンが演奏することとなります。この曲ではそれまでのサザン・桑田さんソロでサポートを務めた小倉博和さんが弾いています。また、パーカッションも、当時野沢さんが持病の腰痛が悪化したため、三沢またろうさんが担当しています。

この曲でオリコン1位を獲得、74万枚を売上、サザンの21世紀に発売されたシングルで最大の売上となりました。サザン再始動にピッタリのサマー・チューンです。


↑MVには当時トップグラビアアイドルで、現在は女優として活躍する小池栄子さんが出演しています。