本日は浜田雅功「春はまだか」(1997年リリース) です。
浜田雅功さんといえばご存知、お笑いコンビ「ダウンタウン」のツッコミ担当で、コンビでのレギュラーは勿論、ピンでも「プレバト!!」(MBS)、「ごぶごぶ」(MBS)、「ジャンクSPORTS」(フジテレビ) などなど、多数のレギュラー番組を持つお笑い芸人です。
そんな浜田さんは1990年代、ダウンタウンが東京に進出し、「ダウンタウンのごっつええ感じ」(フジテレビ) や「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」(日本テレビ) などの全国区のレギュラー番組を持ち始めた際、バラエティ番組以外にも、ドラマに出演し俳優活動を行ったり、歌手活動を行ったりしていました。ドラマでは「パパとなっちゃん」(TBS) 、「ADブギ」(TBS) などにレギュラー出演し、1992年には「十年愛」(TBS) で田中美佐子さんと共にダブル主演を務め、1995年の「人生は上々だ」で木村拓哉さんと共にダブル主演を務め、俳優活動でもヒットを出します。以降2000年頃まで断続的に俳優業も行います。
そして極めつけは音楽活動でした。それまでダウンタウンとしてもアルバムをリリースしていましたが、1995年に小室哲哉さんプロデュースで小室さんとユニット「H Jungle wit t」を結成し、「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント」が200万枚以上を売り上げる大ヒットとなり、社会現象を巻き起こした上、お笑い芸人で200万枚以上もの大ヒットを起こすというそれまでの例を見ない事例を出しました。
「H Jungle with t」としては1996年リリースの「FRIENDSHIP」まで活動を行い、その翌年の1997年に「浜田雅功」名義で初のシングルをリリースしました。それがこの「春はまだか」です。
この曲は浜田さん自身も出演したJR東日本のスキーシーズンキャンペーンCM「JR ski ski」の1997年度CMソングとして使われました。
「H Jungle with t」での小室さんによるプロデュースから代わり、「春はまだか」では奥田民生さんが作詞・作曲・編曲・プロデュースを務めました。
民生さんはUNICORNの解散後はソロ活動で多くのヒット曲を出す傍ら、小室さんや小林武史さんが行っていた「ミュージシャンのプロデュース活動」に興味を示すようになり、同じ事務所に所属していた女性2人組ユニット「PUFFY」をデビューさせ、大成功に導いていました。民生さんは当時浜田さんがMCをしていた朝日放送・テレビ朝日系「人気者でいこう!」で共演していた経緯から浜田さんのソロシングルのプロデュースを引き受けました。そして生まれたシングルが「春はまだか」でした。タイトルは「春〈はまだ〉か」と浜田さんの名前も入ったダブル・ミーニングも取り入れています。
「ふらふら旅をしているうちに かわいた風を教えてもらった」
「誰も知らない 野原を見つけた」
あてもなく彷徨う旅路の中で乾いた風を感じた主人公。その風に連れられて来た先は誰も居ない、知らないような場所に野原がありました。
「色んな事で転がりながら とにかくこうしてここまで来たんだ」
「誰にも似てない 本当の姿で」
恐らく歌詞は民生さん視点で見た浜田さんのことを書いたような歌詞。ダウンタウンとしても、浜田さんとしても様々な事があって現在の立ち位置を確立しました。誰にも似てない独自の芸風でここまでやってきた浜田さんの事を指しているのだと思います。
「春はまだかと 古い友だちに聞いてみろ」
「熱はないかと 笑いとばすに決まってる」
1人(または2人)でやってきた主人公が急にふと思い出したように古い友だちに「春はまだか?」と尋ねてみることに。勿論唐突に聞かれた友だちは「お前、熱でもないか?」と笑いとばして無下にします。しかし主人公にとっては古い友だちに他愛もない話をすることこそが目的。感傷に浸りたかったのです。
「宇宙の地球の小さな国のどこかで」
「一人の男が はるかな何かを作るのでしょう」
まさしく浜田さんを体現したような歌詞。小さな日本で大きなお笑いのムーブを作り出した浜田さんの事を言っています。
民生さんのソロ活動でも展開されていた8ビートのシンプルなロックンロールは、この曲でも健在で、エレクトリックギター2本、ベース、ドラムス、オルガン、タンバリンで構成されています。当時の民生さんのバックを務めていたメンバーがそのままレコーディングで演奏されており、エレクトリックギターは長田進さんと民生さん、ベースは根岸孝旨さん、ドラムは古田たかしさん、オルガンは斎藤有太さんが演奏しています。シンプルですが無駄の無いロック。奥田民生の真髄でもあります。
※2022.5.5投稿の記事を大幅加筆、修正。
