ポリリズム・ファンクから火が付いた。山下達郎「BOMBER」 | よねともが気ままに思うブログ

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変な時間に投稿します。この時間の投稿は、山下達郎「BOMBER」(1978年リリース、アルバム『GO AHEAD!』収録) です。




当時の歌謡曲全盛の時代に、山下達郎の音楽は大瀧詠一さんと同様に、趣味性の高いものという評価が世間一般からの評価でした。音楽業界では、達郎さんの評価は決して低いものではなく、当時行っていたCM音楽の制作や、他のミュージシャンにコーラスで参加(この時期は大瀧さんや松任谷由実さんの作品などに参加していました) するなど、ミュージシャン界隈からの期待は高かったそうです。しかし、レコード会社からすれば、前作『SPACY』が殆んど売れず、ライブ・アルバム『IT'S A POPPIN' TIME』でもセールスは散々。いよいよ自身のレコードが出せなくなりそうな状況に陥って来ました。その為、達郎さんは次のアルバムが最後のアルバムになるだろうと予測し、この先は裏方で食っていこうと思い立ち、アルバム作りは作家性の強い作品を制作することになりました。これがアルバム『GO AHEAD!』です。

『GO AHEAD!』はこの後の『ARTISAN』などに通ずる作家性の強い、バラバラな曲調が集まったアルバムになりました。R&B、シカゴ・ソウル、三連バラードにウォール・オブ・サウンド。達郎さんが影響を受けた作風や、やってみたいと思ったものまで、様々でした。当時はリスナーや評論家にまとまりの無さを指摘されたりしたそうですが、結果的にはこの後のアルバム作りに大きな影響を与えることになります。

この「BOMBER」はB面1曲目に収録されています。達郎さんは当時、ポリリズム・ファンクにハマっており、アイズレー・ブラザーズのようなファンクを作ろうと目論んで作られたものでした。16ビートのカッティングとファンキーなスラップ・ベースが特徴的なファンクとなっています。カッティング・ギターは達郎さんによるもので、間奏とアウトロのギター・ソロは椎名和夫さんのディストーション・ギター。ドラムは上原裕さん、キーボードは難波弘之さんです。そしてハードなスラップ・ベースは田中章弘さんによる名演で、この曲を引っ張っています。椎名さんと難波さんはこの曲で初めて達郎さんの曲に参加しており、特に難波さんは現在においても達郎さんのレコーディング・ライブに40年以上にわたって参加し続けています。

この曲は最初こそ何も評判になりませんでしたが、とある大阪のディスコでこの曲が流れると評判になり、ヒットすることに。次第に大阪中を席巻する曲になりました。大阪でヒットしたことにより、翌1979年にライブツアーを開催、大阪でのライブは大盛況に終わります。ここから達郎さんによる快進撃が始まります。まさにポリリズム・ファンクが山下達郎をスターダムに押し上げる爆弾に火を付けることになったのです。