本日はサザンオールスターズ「フリフリ'65」(1989年リリース) です。
1988年終わり頃からアルバムを作ってきたサザンオールスターズ。1989年には3枚のシングルをリリースしてきました。際どい歌詞の「女神達への情歌(報道されないY型の彼方へ)」、夏にピッタリのバラード「さよならベイビー」、そしてこの「フリフリ'65」となります。このシングルリリースの2ヵ月後に5年ぶりのオリジナル・アルバム『Southern All Stars』がリリースされます。
1年に3枚シングルをリリースする時は、全てジャンルがバラバラになるのがサザンの特徴の一つです。1989年リリースのシングルもそうでした。
タイトルの「フリフリ」は、GSバンド「ザ・スパイダース」が1965年にリリースした「フリフリ」から取られているもので、「65」は1965年を指します。
この「65」は、ザ・ビートルズが「HELP!」をリリースした年、前述の「フリフリ」がリリースされた年、そして制作中だった映画「稲村ジェーン」の舞台が1965年であったことから付けられたといわれています。
歌詞は前2作に比べるとやや五感重視ですが、桑田さんならではの印象的なフレーズが散見されます。
「シャレたマンボのようなステップ それが1 2 3」
「俺とスイムに乗せて踊ろうディスコティーク」
場所は「ディスコティーク」で、公共でポップスナンバーに乗せて踊れる場所のことを指します。今でいうクラブのようなものですが、そこで男は女性に「踊ろうぜ」と声をかけています。
「いかす女は真っ赤なレザーパンツ やがて酔狂に twirt and shout」
この曲に出てくる女性は男を虜にする、イカしたファッションをしています。レザーパンツの女性はノリにノッて徐々にツイストを踊り、シャウトを決めています。
「ひとりぼっちのねえちゃん もうちょいと寄ってんさい」
そんな踊りに熱狂する女性に対して男は「俺んとこに来いよ」とナンパしています。
「ヨダるダンモな彼氏 それも1 2 3」
(Let's フリフリ)
「エレキビートに合わせ 好きさ cheek to cheek」
(Let's フリフリ)
「ヨダる」とは不良や夜遊びをすることを指す言葉で、同じディスコティークではカップルで来ていて、あまり素行の良くない彼氏はエレキビートに合わせて踊っているようです。
「連れの女はピンクのレザーショーツ いつもC調に up and down」
レザーショーツの女性(ヨダるダンモの男の彼女) はいつもC調(サザンの「C調言葉に御用心」で出てくる言葉で、調子いいという意味) で上下に腰を振って、彼氏が居るにも関わらず他の男を誘っています。
「かっぽれエッチなモーション 放っといちゃもったいない」
この女性はかなりスタイルがいいようで、セクシーで色気を振りまいています。こんな女性を放っといておくなんて勿体ない、俺が頂いちゃおうかな、と企んでいる様が浮かびます。
GSに近いロック・サウンドで構築されています。イントロのギターリフが特徴的ですが、桑田佳祐さんはこの曲のリフやメロディを作るのにかなり時間がかかったそうです。ギターは全て大森隆志さんによるもの。ベースは前2作が打ち込みでしたが、本作では関口和之さんの生ベースで、骨太なロックを意識してかかなり太いサウンドを展開しています。4ビートの松田弘さんのドラムもキレキレの音色。ハードロックに近いノリにすべく叩かれている野沢秀行さんのカウベルも忘れてはなりません。また、サザンによるセルフアレンジですが、キーボードの演奏に小林武史さんと門倉聡さん、コンピューター・プログラミングで菅原弘明さんも参加しています。コーラスや合いの手もかなりロックに近いもので、「Let's! フリフリ」「Hey Hey Hey」の部分は盛り上がること間違いなしです。
この曲は「女神達への情歌」に続いてフジテレビ系バラエティ「夢で逢えたら」の2代目オープニングテーマに使われました。
このオープニングから、「夢で逢えたら」メンバーと主題歌担当のバンドが共演するようになっています。(「女神達への情歌」は直接の共演は無く、サザンの映像はMVを流用したものでした) 最後の場面で立食パーティーで乾杯するも、同時にワインをかけあうシーンも存在しました。ちなみにこの時、サザンファンである内村光良さんは初めてサザンオールスターズと共演しましたが、緊張のあまり会話が出来なかったそうです。ちなみに、サザンの「夢で逢えたら」の使用は本作までで、次からはUNICORNになります。
ゴリゴリのロックをかますサザン。こういうハードなナンバーも最高です。
また、こちらも「夢で逢えたら」のオープニングを載せておきます。