砂糖の甘さも、
甘味料の甘さも、
全然物足りない。
頭が真っ白になるような、
舌が痺れるくらい強烈な、
――甘さ。
それに比べたら、
何もかも霞んでしまう。
・・・
そのとき私は彼のカフェへお邪魔した。
今日は休みの日であるため人はいない。
アンティークな店で
たくさんのものが揃っていた。
彼が昼食を作っている間、
目をこすっていた。
・・・そういえば。
「ねぇ」
「あ、俺のメガネ・・・」
「どうして作るときは、かけないの?」
そういうと彼は
笑いながら”目悪くなるから返せ”といい
メガネをかけ料理を再開した。
「私ね、甘いのは大好きなのに、ダメなの。
苦いのも、辛いのも、塩辛いのも、どうしても苦手で。
嫌いなんだ。」
「? そのお茶、飲めてるじゃないか」
違うの。
君の作ってくれたものならなんでも食べれるの、飲めれるの。
本当に大好きなのに。
「・・・変だよね!ごめん・・・・・・」
「いや、ダメなのか・・・」
甘い、
甘い日々は、
―――唐突に終わってしまう。
・・・
「・・・え?どうしたの、いったい何が――」
「だめなんだ。砂糖を入れるだけじゃ、だめなんだ。
甘いだけじゃおかしかった、これは本物じゃない」
「・・・?」
「砂糖はもうないんだ。だからここにあるものは全部偽物。
作られた甘さは本物じゃない・・・。”嘘”なんだよ。
言ったよな、”甘いの以外は苦手”だって」
「・・・!」
そこで私は彼の言っている意味がわかったようで。
でも遅かったんだ。
「苦いのも、辛いのも、塩辛いのも俺の一部だから。
俺にはできない。 甘い言葉を吐き続けていられるほど・・・
――俺は強くなれないんだ・・・ッ!!」
・・・
・・・ゴボッ!
「!」
なんだろうこれ・・・
息が出来なくて、苦しい。
塩辛い、苦い!
溺れてしまう・・・
・・・・・・彼に手を伸ばしても、
私の手は、
届かない。
パリンッ!!
空になって、
何もかもなくなってしまった。
「・・・!これは・・・」
小さな正方形の形の箱。
それを開けるとモンブランが一つ、
可愛らしくおいていた。
私はそれを食べる。
「・・・・・・ッ」
・・・
どうして気付かなかったのだろう。
あの時も、あの時も、
彼は、
―――彼は、泣いていたんだ。
「だって、全然甘くないもの・・・・・・どうして・・・?」
あんなに甘かったモンブランが嘘のように。
””嘘”なんだよ”
「甘くない・・・甘くないよ・・・」
ただ静かに、涙の味がするだけで。
この味がどうか、
嘘であってと願いながら。
―――弾き堕した結果。