ショパン&ラフマニノフ 霊界最高のバディ 第1話『バディ誕生』 | 宮澤智秀のブログ

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統合失調症中卒ニート

「ラフマニノフピアノサービス」

音楽家のラフマニノフが、2か月に1回に自身が開発した霊界で最も美しい音と評価される、霊界最高のグランドピアノ「ラフマオリジナル」をピアノが欲しくても買えない人に、30台限定で、抽選で無料で配っている。

1000人を超える応募があり、その中から抽選で選ばれた150人がラフマニノフの指定した会場に集まり、30台限定の「ラフマオリジナル」が当選するかどうかを競うのだ。

音楽家のショパンはこの「ラフマニノフピアノサービス」に参加していた。
彼は貧乏であった。有名音楽家ではあったが、慈善事業、ホームレスや弱い子供たちの生活支援などに
お金を使いすぎて、お金がほとんど残らなかったのだ。

ショパンには壮大な夢があった。「ラフマオリジナル」をもらい、まず高名な自分の名でピアノレッスンの生徒、弟子を応募して、ある小さな場所から「ショパンピアノスクール」を開校するということ。

そして、いずれ、お金をたくさん貯めて、小さな規模から、霊界でも最大の規模の、いずれは「霊界最高のピアノ音楽学校」として、名を馳せたい、評価されたいという夢である。

そのためにはピアノが必要。ピアノがないと、レッスンできないし。でも、人を助けるためにお金を使いすぎて、破産してしまった。なので、この「ラフマピアノサービス」に応募したのだ。


運よく、抽選での150名に選ばれた。あとは、5分の1の確率でピアノが手に入るかもしれない。

ショパンはあらぬ期待でいっぱいだった。


にぎやかな会場では、150名がきれいに並べられた椅子と円卓を囲み、豪華な様々な種類の料理が円卓の上に出され、ショパンは腹が空いていたので、人目を気にせず、食べまくった。

「ショパンさん。まだ、召し上がる時間じゃないですよ。抽選後に食べてください」

「ええい、大目に見ろ。私はあまりに腹が減っているのだーーー」


ショパンはお構いなしに、チョコビスケットとイチゴショートケーキを食べていた。

ラフマニノフはそれを壇上から、司会の席から笑いながら見ていた。


「机に並べられた料理は、抽選後まで飲食禁止です。ショパンさん、慎んでください!!!」

ラフマニノフは会場中に響き渡るように、マイクでそう言い放った。スピーカーで音が分散され、

会場中がショパンにくぎ付けになった。

「えっ、ショパン?あのショパンじゃないか!!!なんで、こんなところにいるんだ?」

周りがざわつき、ショパンのもとにたくさんの参加客たちが集まってきた。

ショパンは食べるのをやめて、逃げ出して席に座った。

「それでは、抽選を始めますよ!!!!」

ラフマニノフの合図で、抽選が始まった。


150人が列に並び、くじ箱の中に手をつっこみ、ひとりずつ、一枚の紙を手にする。

その紙には番号が書いてあって、その番号で、ピアノがもらえるかどうか決まる。

ショパンは一番最後列の最後に並んだ。並んでいる最中でも、料理を食べたくて、料理が並んでいる机の近くに来たら、料理を口に入れられると思ったのだ。

この会場に並べられている料理は、すべてショパンの好物ばかりという変な偶然が、ショパンを不思議がらせた。

ブルーベリーのタルト、すみれの砂糖漬け、どんぐりコーヒーなどだ。

ショパンはきっと当選するに違いないという変な確信が少しあった。
自分の好物ばかり用意されていた。神様が自分に当選するよと合図しているだと思ったのだ。


ショパンの抽選の番号を受け取るときが来て、ラフマニノフはその箱を持ちながら、ショパンを

注視していた。

「ショパンさん。その紙を見せてください!」

抽選の紙を取ったときに、ラフマニノフはショパンに話しかけた。

ラフマニノフが生まれて初めてショパンに声をかけた第一声だ。

「あっ、はい。なにか?」

ショパンはラフマニノフにさほど興味がなかったが、紙をラフマニノフに見せた。

「いえ、なんでもありません。1849ですね。あなたがこの霊界に来た西暦ですね。偶然ですね」

「あっ、言われてみればそうですね。すごい偶然だなーーーー!!!」

ショパンはそんな雑談をラフマニノフとして、また席に戻った。


ラフマニノフは司会の席から言い放った。

「今から、当選番号を30個発表します。ちなみに、最後に呼ばれた番号の方は、我がラフマオリジナルで、一台しかない最も貴重で、高価な最初に作られたファーストモデルのピアノをプレゼントいたします」

ショパンはワクワクした。まあ、ファーストモデルが当たらなくても、なぜか、偶然が2回あったので、当たるんじゃないかって予感がした。


「当選番号1138、前へ。」「当選番号9622、前へ。」「当選番号7364、前へ。」


どんどん呼ばれていく。そして、29番目まで来た。ショパンは数えていた。ショパンは少し不安になった。次に呼ばれなかったら、どう生計を立てようか。アルバイトして、物乞いして、ホームレスして、生きていくしかないか。方法はあるけれど、どうしてもこのピアノが当選してほしいな。そうすれば、すぐに弟子を集めて、レッスンして、お金を稼げる。まずは、自分の生活費を稼ぎ、用意することが、人を助けることより大事だと、今までの慈善事業をして、理解した。まずは、人より、自分の心配をするべきだと。

「最後の当選番号。この当選者の方は、ラフマオリジナルのファーストモデルを手に入れられます。……当選番号1849、おめでとうございます」


呼ばれた。ショパンは喜々として、叫びながら、手を挙げて、返事した。

「やったーーーーーーーー!」

ショパンは喜んで、壇上のラフマニノフの元へと向かった。

ラフマニノフから当選証明書と、いただけるピアノをどこに配送するかの住所などを書く申請用紙などがショパンに渡された。

「おめでとう。ショパンさん!!!」

「ありがとう。ラフマニノフさん。あなたには感謝するよ!!!」

「あとで話そう。俺から話しかけるから、この後、料理を食べながら待っていてくれ。絶対に帰らないでくれよ」

「えっ?ああ。まあ、話すくらいなら。いいでしょう」

ショパンはラフマニノフの提案に快諾した。



ショパンは料理を食べまくっていた。会場にいた参加客149人は全員帰った。
そして、会場にはショパンがぽつんと一人、料理を食べていた。
ぽつんと一人だけ。さみしい絵だ。

すると、主催者のラフマニノフがショパンに近づいてきた。


「待たせてしまって悪い!!!ショパン。」

「ああ、それより、話ってなんですか?まあ、私は料理が食べてれているから、退屈せずに済みましたけれど」

「ショパン。俺のファーストモデルラフマオリジナルが当選したのは偶然だと思うか?」

「いいや、気づいてましたよ。主催者は最初から、私に当選させる気だと。だって、今日の机に並べられた料理はすべて、ほとんど私の大好きなものばかりでしたし、あなたが当選番号をわざわざ確認したのも、なんかおかしいなと思っていました。最後まで呼ばれなくて、もしかしたらただの勘違いかもと、少しだけ不安にはなりましたけれど、まさかファーストモデルが当選するとは。いい意味で期待が外れてくれましたね。でも、なぜ?なぜ?私に当選させたのですか?」

「この『ラフマニノフピアノサービス』は、実はショパンのために開催したんだ!!!お前と会うために。そして、お前にあることを告白するために」

「告白?愛の告白とかじゃないですよね?」

「ショパン。お前は今、金に困っているらしいな。慈善事業をしすぎで、自分の食い扶持すら危ういとか。でも、俺は、お前の生き方がとても大好きだ。そして、何より、お前とバディを組みたい!!!」

「バディ?相棒になれってこと?なんでまた?」

「そうだ!お前の夢。ピアノ音楽学校を設立するという夢。霊界で最高のピアノ音楽学校にするという志が、俺と一緒なんだ。だから。同じ夢を共有するもの同士として、相棒になろうって提案だ!!!」


「僕が目指すのは、僕を超えるピアノ音楽作曲家を輩出すること。僕を超える音楽家を自分の手で、育て上げることだよ。君はどんなことを目指しているの?」

「俺は、俺を超えるピアノ協奏曲作曲家を。そして、俺を超えるピアノ演奏家を自分の手で育て上げることだ。地球で一番人気で有名で評価されている俺のピアノ協奏曲2番を超えるピアノ協奏曲を作曲する天才を育てたい。また、俺はピアノ演奏家としても超一流で、歴代でも上位だ。そのピアノ演奏としても、俺を超える天才を生み出したい」

「相棒か。僕は今までずっと相棒なんてもったことがなかった。でも、新しいことに挑戦してみるのも楽しいかもしれない。
誰かとコンビを組んで夢を叶えるのも、なんか面白そうだ。じゃあ、これからは相棒として一緒に活動していきますか?」

「本当にこのラフマニノフと相棒になってくれるのか?本当にいいのか?本当に?マジでか?その言葉に嘘偽りはないか?真実か?」

「ええ、相棒になりましょう。このショパンがね」

「やったーーーーーーーーー!!!」

ラフマニノフは両手を上にあげて、感動の涙を流して、絶叫して、ショパンは驚いた。

「そこまで喜んでくれるとは。僕もうれしいな。これからよろしく。なんか、今まで感じたことないワクワク感を味わってます。これから、どうなるんだろうっていうね」

「バディとしてのルールがある。
一つ目、お互いに嘘はつかないで、正直に素直に接すること。
二つ目、隠し事は一切しないこと。
三つ目、お互いの夢を実現するまであきらめずに行動しつづけること。
だ。いまのところ、それを俺たちのルールにしよう。契約みたいなものだ。心得というか」


「僕からもルールを付け足していいかい?四つ目、お互いに助け合うこと。協力し合うこと。僕がラフマって呼ぶことを許すこと」

「わかった!では!これからは、ショパンとラフマニノフは相棒だ!」

「うん、ラフマ!よろしくね!」


2人はこうして、相棒として、新たな生活をスタートすることになった。